専門用語集
GUIDE
サイコロ治具 Cubic Style Fixture(さいころじぐ)
サイコロ治具とは、電子部品、プリント基板、各種センサ、電装品など、比較的小型・軽量の供試品を高い振動数範囲で振動試験するために使用する当社の治具名称です。当社では 英語でCubic Style Fixture と表記します。
一般的に、振動試験では、供試品を振動発生機の可動部や振動台に確実に固定し、試験条件に沿って振動を伝達する必要があります。特に電子部品やプリント基板などの小型・軽量部品では、比較的高い振動数範囲まで試験する場合があるため、治具には軽量で高剛性であること、治具自身の共振が試験範囲に影響しにくいこと、供試品を確実に固定できることが求められます。
当社ではこのような用途の治具をサイコロ治具として扱っています。過去には電子部品用高周波治具という名称を採用していましたが、現在の名称としてサイコロ治具を使用します。
サイコロ治具は、供試品を振動発生機に直接取り付けにくい場合や、複数の面・方向で取付条件を整えたい場合に使用します。治具に設けられた取付面やねじ穴を利用して、供試品や試験用取付板を固定し、振動発生機からの振動を供試品へ伝達します。
当社のサイコロ治具 JSAシリーズは、電子部品、プリント基板、各種センサ、電装品など、比較的小型・軽量の供試品を高振動数まで振動試験するための治具です。供試品の大きさや質量に応じて複数のサイズがあり、振動試験装置の振動数範囲、治具固有の共振振動数、供試品の質量、治具の強度・剛性などを考慮して使用します。
高振動数領域では、治具のわずかな剛性不足や取付状態の違いが、供試品の応答や伝達率に影響する場合があります。そのため、試験条件を確認する際は、供試品の質量、取付方法、振動数範囲、治具の固有振動数、加速度応答などをあわせて確認する必要があります。
詳細は「治具」「伝達率」「加速度応答」「共振」「振動数」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:電子部品用高周波治具、JSAシリーズ、高周波治具、High-frequency Fixture for Electronic Components
関連用語:治具、伝達率、加速度応答、共振、振動数、搭載質量、供試品
最大加振力 Maximum Excitation Force(さいだいかしんりょく)
最大加振力とは、振動試験装置が発生できる最大の加振力を示す仕様項目です。加振力は、供試品や治具、可動部など、実際に動かす質量に対して振動を与えるために必要な力であり、基本的には「質量 × 加速度」の関係で考えます。
振動試験では、供試品や治具の質量が大きい場合、または高い加速度で試験を行う場合に、必要な加振力が大きくなります。そのため、最大加振力は、目的の試験条件を振動試験装置で実施できるかを判断する重要な指標です。
最大加振力は、サイン波、ランダム波、ショックなど、試験波形によって表示される値が異なる場合があります。例えば、サイン加振力、ランダム加振力、ショック加振力は、それぞれ評価方法や単位表記が異なるため、試験条件に合った加振力を確認する必要があります。
装置選定や試験条件の検討では、最大加振力だけでなく、振動数、加速度、速度、変位、供試品質量、治具質量、可動部質量、許容偏心モーメントなどをあわせて確認します。最大加振力に余裕がない場合は、治具の軽量化、供試品の固定方法の見直し、加速度レベルの調整、試験方向の変更などを検討する場合があります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:最大推力、定格加振力、最大発生力
関連用語:加振力、加速度、搭載質量
最大加速度 Maximum Acceleration(さいだいかそくど)
最大加速度とは、振動試験装置が発生できる最大の加速度を示す仕様項目です。英語では Maximum Acceleration、または Max. Acceleration と表します。
振動試験では、供試品に与える振動負荷の大きさを表す代表的な条件として、加速度が用いられます。
加速度の単位は、国際単位系(SI)の m/s² を基本に使用します。ただし、振動試験や衝撃試験の実務では、重力加速度を基準にした G を補助的に併用する場合があります。海外規格や米国系の試験条件では、Gで条件が指定されることもあります。
最大加速度は、装置の最大加振力と、実際に動かす質量によって変わります。供試品や治具が重くなると、同じ装置でも発生できる加速度は低くなります。そのため、仕様表に記載された最大加速度は、装置能力を示す代表値であり、実際の試験可否は供試品、治具、可動部質量を含めた条件で確認する必要があります。
また、最大加速度は振動数範囲、最大速度、最大変位の制約とも関係します。低い振動数では変位の制約、高い振動数では加振力や速度、装置構造の制約が影響する場合があります。試験条件を設定する際は、加振力、振動数、加速度、速度、変位を総合的に確認することが重要です。
詳しくは 「加速度」「加振力」「振動数」「速度」「変位」「可動部質量」「搭載質量」 を参照してください。
略語・記号: なし
別名・関連表記:最大振動加速度、最大G
関連用語:加速度、加振力、振動数
最大速度 Maximum Velocity(さいだいそくど)
最大速度とは、振動試験装置が発生できる最大の振動速度を示す仕様項目です。英語では Maximum Velocity、または Max. Velocity と表します。
振動速度は、振動している可動部や供試品が、どの程度の速さで往復運動しているかを表します。
サイン波振動では、振動数、変位、速度、加速度は互いに関係しています。低い振動数では大きな変位が必要になりやすく、中間の振動数範囲では速度が制約になる場合があります。そのため、最大速度は、特にサイン波試験で大きな変位や高い加速度を必要とする条件を検討する際に重要です。
最大速度を超える条件では、指定した加速度や変位を満たせない場合があります。例えば、加速度条件としては成立しそうに見えても、振動数と変位の組み合わせによって速度限界に達することがあります。
装置選定や試験条件の確認では、加振力、振動数、加速度、速度、変位の条件を同時に確認し、目的の振動条件が装置能力範囲内に収まるかを判断します。米国系の試験条件や海外仕様書では、速度に inch/s が用いられることもあるため、SI単位への換算確認が必要です。
詳しくは 「速度」「加振能力線図」「振動数」「加速度」「変位」 を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:最大振動速度
関連用語:速度、加振能力線図、振動数
最大変位 Maximum Displacement(さいだいへんい)
最大変位とは、振動試験装置が発生できる最大の変位量を示す仕様項目です。英語では Maximum Displacement、または Max. Displacement と表します。
変位は、振動している可動部や振動台が、基準位置からどの程度移動するかを表します。
振動試験装置の最大変位は、一般に mmp-p で表示されることがあります。p-p は peak to peak の略で、往復運動における上限位置から下限位置までの全移動量を表します。片振幅で表す場合とは値が異なるため、試験条件や仕様表を確認する際は、p-p表記か片振幅表記かを確認する必要があります。
サイン波振動では、低い振動数で高い加速度を発生させようとすると、大きな変位が必要になる場合があります。そのため、低振動数域の試験では、最大変位が試験可否を左右する重要な制約になることがあります。
最大変位を超える条件では、振動試験装置の機械的ストローク限界に達し、目的の加速度や速度を満たせない場合があります。試験条件を検討する際は、加振力、振動数、加速度、速度、変位の関係を確認し、供試品や治具が安全に取り付けられているかもあわせて確認することが重要です。
詳しくは 「変位」「mmp-p」「加振能力線図」「振動数」「加速度」「速度」 を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:変位上限、最大ストローク、最大振幅
関連用語:変位、mmp-p、FLシリーズ
サイン加振力 Sine Force(さいんかしんりょく)
サイン加振力とは、サイン波振動試験で振動試験装置が連続的に発生できる加振力を示す仕様項目です。サイン波加振力、正弦波加振力と呼ばれることもあります。
サイン波試験では、特定の振動数または設定した振動数範囲で、規則的な正弦波振動を供試品に与えます。サイン加振力は、このような正弦波振動を発生させる際に、供試品、治具、可動部などを所定の条件で動かすための力です。
JIS B 7758では、供試品の応答評価や、ランダム波振動試験時・衝撃波振動試験時の伝達関数測定には正弦波加振力が必要であることが説明されています。サイン加振力は、共振探索、サイン波掃引試験、共振耐久試験、伝達関数測定などで重要な仕様項目です。
ランダム加振力やショック加振力とは、評価方法や単位表記が異なります。サイン加振力は、一般に kN 0-p などのピーク値で表示されることが多く、ランダム加振力は rms、ショック加振力は衝撃パルス条件とあわせて表示される場合があります。仕様を比較する際は、どの波形に対する加振力かを確認することが重要です。
略語・記号:N
別名・関連表記:正弦波加振力、サイン波加振力
関連用語:加振力、サイン波
サイン波 Sine Wave(さいんは)
サイン波とは、時間に対して滑らかに周期的に変化する正弦波形のことです。振動試験では、最も基本的な振動波形の一つであり、サイン振動、正弦波振動とも呼ばれます。
サイン波振動試験では、単一の振動数、または設定した振動数範囲を掃引しながら、供試品に規則的な振動負荷を与えます。これにより、供試品の共振、耐久性、機能異常、部品の緩みや破損などを確認します。
サイン波は、振動数、加速度、速度、変位の関係が明確であるため、試験条件を定量的に設定しやすいことが特徴です。共振探索では、振動数を連続的に変化させながら供試品の応答を確認し、どの振動数で応答が大きくなるかを把握します。また、共振耐久試験では、共振点付近で一定時間加振し、耐久性や機能への影響を確認する場合があります。
一方で、実際の使用環境や輸送環境では、複数の振動数成分を含むランダム振動を受ける場合もあります。そのため、サイン波試験は、共振点の把握や特定条件での耐久性確認に適しており、ランダム振動試験とは目的や条件設定が異なります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:正弦波、サイン振動、正弦波振動
関連用語:サイン試験、掃引、振動数
三角波衝撃パルス Symmetrical Triangular Shock Pulse(さんかくはしょうげきぱるす)
三角波衝撃パルス(Symmetrical Triangular Shock Pulse)とは、時間履歴曲線が二等辺三角形となる時刻歴を持つ理想衝撃パルスです。三角波、三角パルスと呼ばれることもあります。
三角波衝撃パルスは、直線的に最大値まで増加し、その後、直線的にゼロへ戻る波形として説明されます。最大値を中心に、おおむね対称な形状を持つことが特徴です。
三角波衝撃パルスは、理想化された波形形状です。実際の試験では、装置、治具、供試品、制御点、センサ特性などの影響を受けるため、数学的に完全な二等辺三角形として再現されるわけではありません。実測される衝撃応答波形が、規定されたトレランス範囲内に収まるように制御することが重要です。
詳しくは「理想衝撃パルス」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:三角波、三角パルス、Triangular Shock Pulse
関連用語:理想衝撃パルス、衝撃試験、方形波衝撃パルス、台形波衝撃パルス、最大加速度
三次元振動台 Three-dimensional Shaking Table(さんじげんしんどうだい)
水平2方向と鉛直方向など、複数方向の揺れを再現できる振動台です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:3次元振動台、三次元震動台、6自由度振動台
関連用語:震動台、水平加振、鉛直加振
自然環境 Natural Environment(しぜんかんきょう)
自然環境とは、製品、部品、装置、材料などが、屋外や実使用場所で受ける自然由来の外部条件を指します。英語では Natural Environment と表されます。
一般的には、気温、湿度、雨、雪、風、日射、気圧、塩分、砂じん、結露、凍結、紫外線、昼夜の温度変化、季節変化などが自然環境に含まれます。製品は、使用中だけでなく、輸送中、保管中、据付時にも自然環境の影響を受ける場合があります。
当社の製品・サービスにおける自然環境は、主に製品や部品が実際の使用場所や輸送・保管中に受ける温度、湿度、振動、衝撃などの外部条件を試験装置で再現し、耐久性や信頼性を確認するための条件として扱います。
例えば、屋外に設置される機器では、高温、低温、温度変化、湿度、結露などが問題になる場合があります。車載機器や輸送機器では、自然環境に加えて、走行中の振動、輸送中のランダム振動、荷扱い時の衝撃なども評価対象になります。
当社では、自然環境そのものをすべて再現するというより、自然環境の中から試験目的に応じて必要な条件を取り出し、温(湿)度試験、振動試験、衝撃試験、複合環境試験などとして評価します。特に、温度や湿度と振動を組み合わせる複合環境試験では、実使用環境に近い条件で供試品の弱点を確認できる場合があります。
なお、「自然環境」は広い意味を持つ用語です。試験条件として扱う場合は、温度や湿度に関する条件は「温(湿)度試験槽」「高温試験」「高温高湿試験」、振動や衝撃に関する条件は「振動試験」「衝撃試験」、複数の環境条件を組み合わせる場合は「複合環境試験」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:屋外環境、使用環境、輸送環境、保管環境、環境条件
関連用語:環境、環境試験、複合環境試験、温(湿)度試験槽、温(湿)度試験室、高温試験、高温高湿試験、温度サイクル試験、振動試験、ランダム振動試験、衝撃試験、輸送試験、信頼性試験
湿度試験 Humidity Test(しつどしけん)
湿度条件を設定し、供試品の耐湿性や性能変化を確認する環境試験です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:耐湿試験、湿熱試験、湿度環境試験
関連用語:温湿度試験槽、相対湿度、絶対湿度
周期 Period(しゅうき)
周期とは、同じ状態が繰り返されるまでにかかる時間を表す量です。英語では Period と表されます。単位には、秒(s)などが使われます。
一般的には、振り子の往復運動、波、音、電気信号、機械振動など、一定の間隔で繰り返される現象に対して使われます。ある動きや信号が1回繰り返されるのにかかる時間が周期です。
振動試験では、振動台や供試品が同じ運動状態に戻るまでの時間を表す場合に周期を使います。例えば、正弦波振動では、振動台が中心位置から一方向へ動き、反対方向へ動き、再び同じ状態に戻るまでの時間が1周期です。
周期と振動数は互いに逆数の関係にあります。周期が短いほど、1秒間に繰り返される回数は多くなり、振動数は高くなります。反対に、周期が長いほど振動数は低くなります。
振動試験の条件設定では、周期そのものよりも、1秒間に繰り返される回数を表す振動数が使われることが多くあります。詳細は「振動数」を参照してください。
略語・記号:T
別名・関連表記:周期時間、繰返し時間、サイクル時間
関連用語:振動数、周波数、周期振動、正弦波振動、サイン波振動、加速度、速度、変位
周期振動 Periodic Vibration(しゅうきしんどう)
周期振動とは、一定の時間ごとに同じ状態を繰り返す振動です。英語では Periodic Vibration と表されます。
一般的には、振り子、ばねに取り付けた物体、回転機械の振動、音波、電気信号など、同じパターンが繰り返される振動を指します。繰り返しの1回分にかかる時間を周期といい、1秒間に繰り返される回数を振動数といいます。
振動試験では、周期振動の代表例として正弦波振動があります。正弦波振動では、振動台がなめらかな波形で往復運動し、同じ波形を一定の時間ごとに繰り返します。
周期振動は、ランダム振動のように不規則な振動とは区別されます。サイン波振動試験、共振探索、共振耐久試験などでは、特定の振動数または振動数範囲で周期的な振動を与え、供試品の応答や共振の有無を確認します。
周期振動の詳細な条件を確認する場合は、周期よりも振動数、加速度、速度、変位を組み合わせて扱うことが多くあります。詳細は「振動数」および「正弦波振動」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:周期的振動、繰返し振動、周期性振動
関連用語:周期、振動数、周波数、正弦波振動、サイン波振動、共振、共振探索、ランダム振動
周波数 Frequency(しゅうはすう)
周波数とは、波や振動が1秒間に繰り返される回数を表す量です。単位は Hz(ヘルツ)で、周期の逆数として表されます。英語では frequency と表記します。
周波数は、電気信号、制御信号、音、電波、FFT、PSDなど、周期的に変化する現象を広く表す場合に使われます。一方、振動試験装置に関連する可動部、振動台、供試品、治具などの機械的な振動については、当社では「振動数」を標準用語として扱います。
当社のカタログ・技術文脈では「振動数」を優先し、検索対策や一般的な表記として「周波数」も別名・関連表記として併記します。詳しくは「振動数」を参照してください。
略語・記号:Hz
別名・関連表記:振動数、Hz
関連用語:振動数、掃引、Hz
周波数分析 Frequency Analysis(しゅうはすうぶんせき)
周波数分析とは、時間とともに変化する信号を、どの周波数成分をどれだけ含んでいるかに分けて調べる解析方法です。英語では Frequency Analysis と表されます。
一般的には、音、振動、電気信号、地震波、機械の回転振動などを解析するために使われます。時間波形だけを見ると複雑に見える信号でも、周波数分析を行うことで、どの周波数帯に大きな成分があるかを確認できます。
振動試験では、加速度ピックアップなどで測定した振動信号を周波数ごとに分け、供試品や治具の応答、共振、振動の大きい周波数帯を確認するために使います。例えば、共振探索では、特定の振動数で供試品の応答が大きくなるかを確認します。また、ランダム振動試験では、周波数ごとの加速度成分を加速度パワースペクトル密度として扱います。
周波数分析には、FFT解析などが用いられます。FFTは、時間波形を周波数成分に変換する代表的な方法です。これにより、時間波形だけでは分かりにくい周期成分、共振成分、ノイズ成分などを確認しやすくなります。
なお、当社の振動試験の文脈では、機械的な振動を表す場合は「振動数」を標準用語として扱います。一方、周波数分析、FFT、PSD、ASDなど、信号解析やスペクトル解析の文脈では「周波数」という表現を使用します。
周波数分析の結果は、伝達関数、共振探索、加速度パワースペクトル密度などの評価にも関係します。詳細は「振動数」、「伝達関数」、「加速度パワースペクトル密度」を参照してください。
略語・記号:FFT
別名・関連表記:周波数解析、スペクトル解析、FFT解析、振動分析
関連用語:振動数、周波数、FFT、スペクトル、伝達関数、共振、共振探索、加速度パワースペクトル密度、PSD、ASD、ランダム振動試験
衝撃加速度 Shock Acceleration(しょうげきかそくど)
衝撃加速度とは、衝撃試験や衝突、落下などの短時間の現象で発生する加速度です。英語では Shock Acceleration と表されます。
衝撃加速度は、供試品に加わる衝撃負荷の大きさを表す代表的な条件です。衝撃試験では、最大加速度、衝撃パルス作用時間、衝撃波形、試験方向、回数などを組み合わせて条件を設定します。同じ最大加速度であっても、作用時間や波形が異なると、供試品に与える速度変化や応答は異なります。
単位は、国際単位系(SI)の m/s² を基本とします。ただし、衝撃試験や車載・航空宇宙・防衛関連の試験条件では、重力加速度を基準にした G を補助的に併用する場合があります。例えば、980 m/s² はおよそ 100 G に相当します。
衝撃加速度は、供試品の破損、変形、ねじの緩み、接触不良、機能停止、センサ応答などを確認するために用います。自動車分野では、エアバッグ制御に使われる加速度センサや圧力センサ、乗員検知センサ、シートベルト関連部品など、衝撃時にも正しく機能することが求められる部品の評価に関係します。
衝撃加速度を扱う際は、最大値だけでなく、衝撃パルス作用時間、速度変化、波形再現性、トレランス範囲、供試品の固定状態をあわせて確認することが重要です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:ショック加速度、衝撃G
関連用語:衝撃試験、衝撃波形、最大加速度
衝撃試験 Shock Test(しょうげきしけん)
衝撃試験とは、供試品に短時間で大きな加速度や力を与え、輸送時、落下時、衝突時、使用時などに発生する衝撃負荷に対する耐久性や信頼性を評価する試験です。ショック試験、機械的衝撃試験と呼ばれることもあります。
振動試験が連続的または周期的な振動負荷を扱うのに対し、衝撃試験では、比較的短い時間に発生する過渡的な負荷を扱います。代表的な衝撃波形には、正弦半波、のこぎり波、台形波などがあり、試験目的や規格条件に応じて波形、最大加速度、衝撃パルス作用時間、作用方向、回数などを設定します。
自動車分野では、衝撃試験は衝突時や急激な加速度変化を受ける部品・センサの評価にも用いられます。例えば、エアバッグ制御に使われる加速度センサや圧力センサ、乗員検知センサ、シートベルト関連センサなどは、衝撃時にも正しく機能することが求められます。これらのセンサは、衝突の強さや方向、乗員の状態などを検知し、エアバッグやシートベルトプリテンショナなどの乗員保護システムの作動判断に関わります。
衝撃試験では、供試品の破損、変形、ねじや部品の緩み、接触不良、機能停止、内部部品の脱落などを確認します。特に、電子機器、自動車部品、輸送機器、航空宇宙機器などでは、実使用中や輸送中に想定される衝撃負荷に耐えられるかを評価する重要な試験です。
装置選定や試験条件の検討では、供試品や治具の質量、衝撃波形、最大加速度、衝撃パルス作用時間、試験方向、取付方法を確認し、衝撃試験装置または振動試験装置のショック加振能力の範囲内で試験できるかを判断します。
略語・記号:なし
別名・関連表記:ショック試験、衝撃印加試験
関連用語:衝撃パルス、正弦半波、応答スペクトル
衝撃波形 Shock Pulse Waveform(しょうげきはけい)
衝撃波形とは、衝撃試験で供試品に与える加速度、速度、変位などの時間的な変化を表した波形です。英語では Shock Waveform と表されます。
衝撃試験では、供試品に短時間で大きな負荷を与え、落下、衝突、輸送、取扱い時などに発生する衝撃に対する耐久性や機能への影響を確認します。このとき、どのような形で衝撃を与えるかを示すのが衝撃波形です。
代表的な衝撃波形には、正弦半波、のこぎり波、台形波などがあります。正弦半波は滑らかな半周期の波形で、電子機器や車載部品などの機械的衝撃試験で用いられることがあります。のこぎり波は急激な立ち上がりまたは立ち下がりを持つ波形、台形波は一定時間ほぼ一定の加速度を維持する波形として扱われます。試験目的や規格条件に応じて、最大加速度、衝撃パルス作用時間、速度変化、試験方向、衝撃回数などを設定します。
振動試験装置で衝撃波形を再現する場合、主となる衝撃パルスに加えて、衝撃波形プリロード・ポストロードを設定することがあります。これは、主パルスによって発生する速度や変位の残りを抑え、可動部を安全に所定位置へ戻すための補正成分です。
また、ショック加振制御では、実際に計測される衝撃応答波形が設定したトレランス範囲に入るように、補正係数などを用いて補正制御を行う場合があります。ただし、供試品や治具の質量、取付剛性、共振、振動試験装置の加振力・速度・変位能力によって、波形再現性が影響を受ける場合があります。
用語集では、衝撃波形を「理想衝撃パルス」の別表記・関連表記として扱います。衝撃試験で使用される代表的な波形には、正弦半波衝撃パルス、のこぎり波衝撃パルス、三角波衝撃パルス、方形波衝撃パルス、台形波衝撃パルスなどがあります。
詳しくは「理想衝撃パルス」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:ショック波形、衝撃パルス波形
関連用語:衝撃試験、理想衝撃パルス、正弦半波衝撃パルス、のこぎり波衝撃パルス、台形波衝撃パルス、衝撃加速度、衝撃パルス作用時間
衝撃パルス作用時間 Shock Pulse Duration(しょうげきぱるすさようじかん)
衝撃パルス作用時間とは、衝撃試験で供試品に加える衝撃パルスが作用している時間を示す条件です。一般に、衝撃波形の開始から終了までの時間、または規格で定められた基準に基づくパルス幅として扱います。英語では Shock Pulse Duration と表されます。
衝撃試験では、最大加速度だけでなく、衝撃パルス作用時間が重要です。同じ最大加速度であっても、作用時間が短い場合と長い場合では、供試品に与える速度変化や応答が異なります。作用時間が長いほど、供試品や構造物の固有振動数との関係によって大きな応答が発生する場合があります。
当社の振動試験装置でショック試験を行う場合、代表的な衝撃パルス作用時間として 6 ms、11 ms などがあります。特に、FVシリーズのような超高速度仕様の振動試験装置では、衝撃パルス作用時間 11 ms、加速度 980 m/s²(100 G)の衝撃試験条件に対応する例があります。また、仕様上はショック加振力を 6 ms、11 ms の条件で示す場合があります。
落下衝撃試験装置では、落下、輸送、取扱い時などに発生する衝撃を想定し、供試品に短時間の衝撃負荷を与えます。試験条件は、供試品の用途、規格、衝撃波形、最大加速度、作用時間、試験方向、回数などによって決まります。
また、エアバッグセンサの開発・検査に用いられる衝撃試験装置では、衝突時の短時間の加速度変化を想定し、センサが正しく応答するかを確認します。このような試験では、衝撃パルス作用時間、最大加速度、波形再現性、応答精度が重要になります。
代表的な作用時間としては、6 ms、11 ms のほか、試験規格や用途によって 0.2 ms、0.3 ms、0.5 ms、1 ms、2 ms、3 ms、16 ms、18 ms、30 ms などが使われる場合があります。ただし、実際の試験条件は作用時間だけでは決まらず、最大加速度、衝撃波形、速度変化、試験方向、衝撃回数、供試品の取付状態などをあわせて確認する必要があります。
当社の説明では、衝撃パルス作用時間を、衝撃試験における負荷の厳しさを判断する条件の一つとして扱います。供試品の破損や機能異常だけでなく、取付治具やセンサの応答にも影響するため、試験前に条件の妥当性を確認することが重要です。
略語・記号:ms
別名・関連表記:パルス幅、作用時間、波形継続時間、パルス作用時間、衝撃作用時間、パルス幅、Duration
関連用語:衝撃試験、ショック加振力、最大加速度、正弦半波、落下衝撃試験装置、エアバッグセンサ
ショック加振力 Shock Force(しょっくかしんりょく)
ショック加振力とは、衝撃試験において、振動試験装置または衝撃試験装置が供試品や治具に衝撃負荷を与えるために発生できる加振力を示す仕様項目です。衝撃加振力、ショックフォースと呼ばれることもあります。
衝撃試験では、短時間で大きな加速度を発生させる必要があるため、ショック加振力は試験可否を判断する重要な装置能力です。供試品や治具の質量が大きい場合、または高い最大加速度・長い衝撃パルス作用時間を要求される場合には、必要なショック加振力が大きくなります。
ショック加振力は、サイン加振力やランダム加振力とは評価条件が異なります。サイン加振力は正弦波振動を連続的に発生させる能力、ランダム加振力は不規則振動を一定時間与える能力として扱われるのに対し、ショック加振力は短時間の衝撃波形を発生させる能力として扱います。
試験条件を検討する際は、加振力、振動数、加速度、速度、変位の条件に加え、衝撃波形、衝撃パルス作用時間、供試品質量、治具質量、試験方向を確認し、装置能力に余裕があるかを判断します。
略語・記号:N
別名・関連表記:衝撃力、衝撃加振力、ショックフォース
関連用語:加振力、衝撃試験
所要電力 Input Power(しょようでんりょく)
所要電力とは、動電式振動試験装置などの装置を安定して運転するために、設置場所側で確保する必要がある供給電源容量を示す仕様項目です。当社では英語表記として Input power を使用します。
当社では、所要電力を、装置の受電設備、配線容量、ブレーカ容量などを検討する際に確認する電源容量の項目として扱います。交流電源の容量を示すため、単位には VA または kVA が用いられます。
交流電力には、実際に仕事として消費される有効電力と、機器の動作に必要となる磁界や電界の形成に関わる無効電力があります。皮相電力は、有効電力と無効電力を含めた、交流機器が電源から受け取る電力全体の大きさを表します。
そのため、所要電力は、装置を設置・運用する際に、設置場所側でどの程度の電源容量を確保する必要があるかを確認するための重要な仕様です。
略語・記号:VA
別名・関連表記:供給電源容量、電源容量、皮相電力
関連用語:皮相電力、有効電力、無効電力、電力増幅器、動電式振動試験装置、振動発生機、Apparent power、Rated power
震度 Seismic Intensity(しんど)
震度とは、ある地点における地震の揺れの強さを表す指標です。英語では Seismic Intensity と表されます。
日本では、気象庁震度階級により、震度0、震度1、震度2、震度3、震度4、震度5弱、震度5強、震度6弱、震度6強、震度7の10階級で表されます。現在、気象庁が発表する震度は、計測震度計によって観測されています。
計測震度は、最大加速度だけで決まるものではありません。加速度の大きさに加え、揺れの周期や継続時間を考慮して算出されます。そのため、最大加速度が大きい場合でも、必ず震度が大きくなるとは限りません。耐震試験や地震波再現試験では、震度だけで試験条件を決めるのではなく、加速度、速度、変位、振動数成分、継続時間、時刻歴波形などを確認することが重要です。震度は、ある地点における揺れの強さや、人・建物への影響を理解するうえで分かりやすい指標ですが、振動試験装置で再現する条件としては、具体的な波形データや加速度データに落とし込む必要があります。
そのため、当社の用語集では、震度を地震の揺れの強さを示す一般的な指標として説明し、試験条件を設定する際には、地震動、時刻歴波形、最大加速度、振動数成分などとあわせて確認するものとして扱います。
略語・記号:なし
別名・関連表記:地震の強さ、揺れの強さ
関連用語:計測震度、加速度波形、地震動
振動 Vibration(しんどう)
振動とは、物体や構造物が基準となる位置のまわりで、繰り返し動く現象です。身近な例では、スマートフォンのバイブレーション、洗濯機や自動車で発生する機械振動、橋や建物に伝わる振動、音を発生させるスピーカーの振動板の動きなどがあります。
振動の大きさや性質は、振動数、振幅、加速度、速度、変位などで表されます。ゆっくり大きく揺れる振動もあれば、小さくても非常に速く繰り返される振動もあります。また、サイン波のように規則的な振動、ランダム振動のように不規則な振動、衝撃のように短時間で発生する過渡的な振動もあります。
振動は、日常生活の中だけでなく、工場設備、輸送機器、自動車、鉄道、航空機、人工衛星、ロケットなど、さまざまな場面で発生します。特にロケットの打ち上げでは、エンジン燃焼、音響、構造応答などが重なり、人類が扱う機械システムの中でも最大級の振動環境が発生します。
製品や部品は、使用中、輸送中、保管中、設置環境などで振動を受ける場合があります。振動によって、ねじの緩み、接触不良、異音、摩耗、疲労破壊、機能異常などが発生することがあります。そのため、製品が想定される振動環境に耐えられるかを確認することは、品質や信頼性を考えるうえで重要です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:バイブレーション、機械振動、揺れ
関連用語:振動数、振幅、加速度、速度、変位、ランダム振動、サイン波、衝撃、共振
振動試験 Vibration Test(しんどうしけん)
振動試験とは、供試品に所定の振動負荷を与え、耐久性、信頼性、機能、構造の健全性などを確認する試験です。自動車部品、電子機器、航空宇宙機器、鉄道用品、輸送包装品など、振動を受ける可能性がある製品の評価に用いられます。
振動試験では、サイン波振動、ランダム振動、衝撃波、実波形再現など、試験目的に応じた波形を用います。サイン波試験では共振探索や共振耐久試験、ランダム振動試験では実使用環境や輸送環境に近い振動負荷の再現、衝撃試験では短時間の大きな加速度負荷への耐性確認を行います。
試験条件は、目的によって設定方法が異なります。研究・開発段階では、設計検証や弱点把握のために独自の条件を設定することがあります。量産前評価や品質確認では、JIS、IEC、ISO、MIL規格、顧客仕様などに基づく規格試験を行う場合があります。また、実際の使用環境や輸送環境で計測した振動データ、解析結果、過去の不具合事例などをもとに、試験条件を設定することもあります。
不具合解析では、想定外の振動や衝撃によって発生した現象を再現し、原因を確認するために振動試験を行う場合があります。例えば、ねじの緩み、接触不良、異音、部品の破損、配線やコネクタの不具合、機能異常などについて、実際に近い振動条件や加速した条件で再現性を確認します。
試験条件を設定する際は、加振力、振動数、加速度、速度、変位を基本に、供試品質量、治具質量、取付方法、試験方向、制御点、計測点、試験時間などを確認します。供試品や治具の共振、固定状態、重心位置によって試験結果が変わる場合があるため、試験前の条件確認が重要です。
振動試験は、単に供試品に振動を加えるだけの試験ではありません。製品が使用中、輸送中、保管中、設置環境などで受ける振動負荷を想定し、設計段階の検証、規格適合確認、品質保証、不具合解析、信頼性向上に役立てるための評価手段です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:加振試験、耐振試験、振動評価試験
関連用語:振動試験装置、加振、供試品
振動試験装置 Vibration Testing System / Vibration Test System(しんどうしけんそうち)
振動試験装置とは、供試品に人工的な振動負荷を与え、振動試験を行うための装置です。振動試験機、振動台、シェーカー、加振機と呼ばれることもあります。
振動試験装置は、製品や部品が使用中、輸送中、保管中、設置環境などで受ける振動を再現し、耐久性、信頼性、機能、構造の健全性などを確認するために使用されます。試験目的に応じて、サイン波振動、ランダム振動、衝撃波、実波形再現などの加振を行います。
振動試験装置には、駆動方式によって代表的に、機械式、油圧式、サーボモータ式、動電式があります。それぞれ得意とする試験領域や不得意な条件があるため、試験目的、供試品の質量、必要な加振力、振動数範囲、加速度、速度、変位、試験波形などに応じて選定します。
機械式振動試験装置は、機械的な機構によって振動を発生させる方式です。構造が比較的シンプルで、一定条件の繰り返し振動や単純な耐久試験に適する場合があります。一方で、波形の自由度や高精度な制御には制約があり、複雑な試験条件や広い振動数範囲の再現には向かない場合があります。
油圧式振動試験装置は、油圧アクチュエータによって大きな力や大きなストロークを発生させやすい方式です。大型構造物、建築・土木、輸送機器、地震波形再現など、大きな加振力や低振動数・大変位が必要な試験に適する場合があります。一方で、高い振動数範囲の試験や、細かな波形制御では、動電式と比べて制約が出る場合があります。
サーボモータ式振動試験装置は、サーボモータの回転運動をボールねじなどの機構で直線運動に変換して加振する方式です。油圧式と動電式の中間的な動作範囲として扱われることがあり、比較的低振動数の加振、複数軸の同期運転、低騒音、省設備化などに適する場合があります。一方で、高振動数域や高加速度条件では、装置仕様による制約を確認する必要があります。
動電式振動試験装置は、コイルに電流を流し、磁界との相互作用によって可動部を動かす方式です。スピーカーに近い原理で、電気信号を機械的な振動に変換します。振動制御装置、電力増幅器、振動発生機、加速度ピックアップ、治具などを組み合わせ、設定した振動条件に近づくように制御します。
動電式振動試験装置は、サイン波振動、ランダム振動、衝撃波など、さまざまな波形の振動試験に対応しやすく、電子機器、自動車部品、航空宇宙機器、鉄道用品、輸送包装品など幅広い分野で使用されます。特に、振動数範囲、加速度、速度、変位を制御しながら、供試品の共振、耐久性、機能異常、部品の緩みや破損などを確認する試験に適しています。
当社では、動電式振動試験装置を中心に、試験目的に応じたシステムを構成します。装置選定では、最大加振力、振動数範囲、最大加速度、最大速度、最大変位、可動部質量、供試品質量、治具質量、許容偏心モーメントなどを確認します。仕様表上の最大値だけでなく、実際に取り付ける供試品や治具の条件を含めて、目的の試験が成立するかを検討することが重要です。
また、動電式振動試験装置は、温(湿)度試験槽と組み合わせることで、振動負荷、温度負荷、湿度負荷を同時または連動して与える複合環境試験装置を構成できます。垂直方向の試験に加え、水平加振台を用いることで水平方向の試験に対応する場合もあります。試験方向の切り替え、槽の移動、電動切り替え、自動ロック機構などを組み合わせることで、作業負荷の低減や試験準備時間の短縮につながります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:振動試験機、加振機、加振装置、振動発生装置、振動台、シェーカー、動電式振動試験装置、Vibration Shaker
関連用語:動電式振動試験装置、振動発生機、電力増幅器、振動制御装置、加速度ピックアップ、治具、複合環境試験装置、水平加振台
振動数 Frequency(しんどうすう)
振動数とは、振動が1秒間に繰り返される回数を表す量です。振動が1回繰り返されるのにかかる時間を周期といい、振動数は周期の逆数で表されます。単位は Hz(ヘルツ)で、1 Hz は1秒間に1回の振動を意味します。周波数と呼ばれることもあります。
一方で、広い意味では「周波数」も同じ frequency を表す用語です。周波数は、波動や振動が単位時間当たりに繰り返される回数を表し、電気信号、制御信号、音、電波、FFT、PSDなどの分野で一般的に使われます。振動数も英語では frequency であり、周波数とほぼ同義ですが、用語集では、機械的な振動を扱う場合は「振動数」、電気信号・音・電波・解析信号など広い周期現象を扱う場合は「周波数」と整理します。
振動試験では、振動数は試験条件を決める基本項目です。サイン波試験では、特定の振動数で加振したり、一定の振動数範囲を掃引したりします。ランダム振動試験では、振動数範囲ごとに加速度パワースペクトル密度を設定し、どの振動数帯にどの程度の振動強度を与えるかを定義します。
供試品や治具には、それぞれ固有振動数があります。そのため、振動数が供試品の固有振動数に近づくと共振が発生し、局所的に大きな応答が出る場合があります。振動試験では、どの振動数で応答が大きくなるかを確認することが重要です。
試験条件を検討する際は、加振力、振動数、加速度、速度、変位を総合的に確認します。低い振動数では変位が制約になりやすく、高い振動数では加振力や装置構造、治具剛性、センサ特性が影響する場合があります。
当社では、振動試験装置に関連する可動部、振動台、供試品、治具などが1秒間に繰り返し運動する回数を「振動数」と定義し、標準用語として扱います。振動試験では、実際に機械的な振動として発生する運動を扱うため、「周波数」よりも「振動数」を優先して使用します。
略語・記号:Hz
別名・関連表記:周波数、frequency、Hz、加振周波数、試験周波数
関連用語:振動数範囲、周波数、加振周波数、共振振動数、固有振動数、サイン波、ランダム振動
振動数範囲 Frequency Range(しんどうすうはんい)
振動数範囲とは、振動試験装置が加振できる、または試験条件として指定する振動数の範囲を示す仕様項目です。英語では Frequency Range と表され、周波数範囲、加振周波数範囲と呼ばれることもあります。
振動試験では、供試品が実際に受ける振動環境を想定し、必要な下限振動数から上限振動数までを設定します。サイン波掃引試験では、指定した振動数範囲を連続的に変化させながら加振し、共振点や応答の大きい振動数を確認します。ランダム振動試験では、振動数範囲ごとに加速度パワースペクトル密度を設定し、どの振動数帯にどの程度の振動強度を与えるかを定義します。
振動数範囲は、単に「広ければよい」という仕様ではありません。試験目的によって重要になる振動数帯が異なります。例えば、輸送包装品の評価では、輸送中に発生する比較的低い振動数の再現が重要になる場合があります。一方で、電子部品、センサ、小型機器、機械インピーダンス測定、周波数特性計測などでは、高い振動数範囲まで加振できることが重要になる場合があります。
低い振動数の試験では、大きな変位が必要になりやすく、最大変位が試験可否を左右する場合があります。特に10 Hz以下のような低振動数条件では、加速度だけでなく変位条件の確認が重要です。また、20~80 Hz付近のように大きな加速度を必要とする条件では、装置の速度性能が重要になる場合があります。高い振動数の試験では、加振力、加速度、治具剛性、センサ特性、計測器の応答などが影響します。
そのため、振動数範囲は装置単体の仕様だけで判断せず、加振力、振動数、加速度、速度、変位、供試品質量、治具質量、取付方法、制御点、計測点、使用する振動計測器をあわせて確認する必要があります。仕様表上の振動数範囲内であっても、供試品や治具の条件によっては、目的の試験条件を満たせない場合があります。
また、振動試験装置の選定では、「大きな装置なら小さな試験もすべて対応できる」という考え方が必ずしも成り立つわけではありません。振動試験装置は大は小を兼ねるとは限らず、試験目的に応じた仕様の選定が重要です。例えば、大加振力や大変位を重視した装置は、低振動数域や大型供試品の試験に適している一方で、小型軽量部品の高振動数試験や微小な振動制御では、より適した装置が存在する場合があります。逆に、高振動数特性を重視した小型振動試験装置では、大質量の供試品を加振できない場合があります。
当社では、汎用的な動電式振動試験装置だけでなく、低振動数域を重視した輸送包装振動試験装置、高速度仕様、大変位仕様、高振動数型の小型振動試験装置、超高周波領域の周波数特性計測に対応する特別注文製品など、試験目的に応じた振動数範囲の装置を構成します。
略語・記号:なし
別名・関連表記:周波数範囲、加振周波数範囲、試験周波数範囲、Frequency Range
関連用語:振動数、周波数
振動制御装置 Vibration Controller(しんどうせいぎょそうち)
振動制御装置とは、振動試験装置を任意の振動状態に制御するための装置です。振動コントローラ、Vibration Controller と呼ばれることもあります。
振動試験では、設定した加速度や振動数で加振したい場合でも、供試品や治具の質量、取付状態、共振特性、振動発生機の動特性などによって実際の振動状態が変化します。そのため、単に振動発生機へ信号を入力するだけでは、目的とする試験条件を安定して再現することが難しく、振動制御装置が必要になります。
振動制御装置は、加速度ピックアップなどのセンサから入力される信号をもとに制御信号を生成し、電力増幅器へ出力します。電力増幅器は、その制御信号を振動発生機の駆動に必要な電力へ増幅し、振動発生機へ供給します。これにより、設定した加振力、振動数、加速度、速度、変位などの条件に近づくように振動試験装置を制御します。
振動発生機は、発信器やファンクションジェネレータから出力した正弦波信号を電力増幅器へ入力することで加振することも可能です。しかし、実際の振動試験では、供試品や治具の質量、取付状態、共振特性、振動発生機の動特性などによって応答が変化するため、単純に信号を入力しただけでは目的の加速度、速度、変位を正確に実現することは容易ではありません。特に振動数を変化させながら加振する場合は、同じ入力電圧であっても振動応答が大きく変化することがあり、共振点付近では急激な応答増加が発生する場合があります。
そのため、振動試験では加速度ピックアップなどのセンサで実際の振動状態を計測し、その結果をフィードバックして制御する閉ループ制御が一般的に用いられます。振動制御装置は、目標値と実測値の差をリアルタイムで補正しながら出力信号を調整することで、設定した振動数、加速度、速度、変位を維持します。これにより、試験条件の再現性や計測精度を確保するとともに、過大な振動による供試品や装置の損傷を防止します。
振動制御装置では、サイン波試験、ランダム振動試験、ショック試験、実波形再現試験など、試験目的に応じた制御を行います。サイン波試験では振動数掃引や共振探索、ランダム振動試験ではPSD制御、ショック試験では衝撃波形制御などを行います。
近年の振動制御装置では、これらの基本的な試験だけでなく、複数の振動を組み合わせた高度な制御にも対応しています。例えば、ランダム振動にサイン波を重畳するサインオンランダム(Sine on Random)、複数のサイン波を同時に加振するマルチサイン(Multi-Sine)、サイン波の振幅を周期的に変化させるサインビート(Sine Beat)、ランダム振動に衝撃波を重畳する Random on Shock、複数軸を同期させる多軸振動制御、実測した加速度波形を再現するタイムヒストリ制御(Time History Replay)などがあります。これらは航空宇宙、自動車、防衛、電子機器などの分野で、実環境に近い複雑な振動状態を再現するために用いられます。
また、共振耐久試験では共振点追従制御、複数の計測点を監視するマルチポイント制御、供試品保護のためのノッチング制御、加速度・速度・変位を切り替えて制御するクロスオーバー制御など、高度な制御機能が使用される場合があります。振動制御装置は単に振動を発生させるための装置ではなく、実環境の再現、試験効率の向上、供試品保護を実現するための中核的なシステムです。
当社の用語説明では、振動制御装置は単なる操作機器ではなく、試験条件の再現性、安全性、計測精度に関わる重要な装置として扱います。制御点・計測点の設定、リミット条件、試験停止条件、共振点追従、データ保存などの機能により、供試品や装置を保護しながら目的の試験を実施します。
略語・記号:なし
別名・関連表記:振動コントローラ、制御装置、コントローラ
関連用語:MXシリーズ、振動制御ソフトウェア、伝達関数
震動台 Seismic Table / Shaking Table(しんどうだい)
地震の揺れを再現するための台です。耐震試験や構造物の振動台実験に使用されます。
略語・記号:なし
別名・関連表記:振動台、地震動再現装置、加振台
関連用語:振動台実験、三次元振動台、地震動
震動台実験 Shaking Table Test(しんどうだいじっけん)
震動台実験とは、震動台上に供試体や構造物を設置し、地震動などの入力波形を与えて、その応答や損傷、耐震性能などを確認する実験です。
実際の地震で観測された時刻歴波形や、評価用に作成した波形を震動台で再現し、供試体に生じる加速度、変位、ひずみ、力などを測定します。必要に応じて、損傷や破壊に至る過程を確認する場合もあります。
「振動台実験」と表記されることもありますが、本専門用語集では、地震動を再現する設備や実験を示す場合は「震動台実験」を標準用語とします。
略語・記号:なし
別名・関連表記:振動台実験、加振台実験、Shake Table Test
関連用語:耐震試験、地震波再現試験、地震動、時刻歴波形、実大三次元震動台、油圧式震動台、応答スペクトル
振動発生機 Vibration Generator / Shaker(しんどうはっせいき)
振動発生機とは、振動試験装置の中で実際に機械的な振動を発生させる機器です。英語では Vibration Generator と表され、シェーカー、加振機と呼ばれることもあります。ただし、当社標準用語では「振動発生機」を基本表記とします。
動電式振動発生機では、可動コイルと励磁コイルによる電磁力を利用して可動部を往復運動させます。可動部または加振台に供試品や治具を取り付けることで、供試品に振動負荷を与えます。
動電式の振動発生機の基本構造は、音響機器に使われるダイナミックスピーカーとよく似ています。スピーカーが電気信号を音として再生するのに対し、振動発生機は電気信号を機械的な振動として発生させます。スピーカーには高音域を得意とするツイーターや低音域を得意とするウーファーがあるように、振動発生機にもそれぞれ得意とする振動数帯があります。低振動数域で大きな変位を発生しやすい機種、高い速度性能を重視した機種、高振動数域まで対応する機種などがあり、用途によって最適な仕様は異なります。
そのため、振動発生機はオールレンジスピーカーのように一台であらゆる試験に対応できるものとして扱われがちですが、実際には試験目的に応じた選定が重要です。例えば、輸送環境を想定した低振動数試験では大変位性能が重要になる場合があり、電子部品やセンサの評価では高振動数性能が重要になる場合があります。また、20~80Hz付近で大きな加速度を必要とする試験では速度性能が重要になることがあります。
振動発生機の性能は、最大加振力、振動数範囲、最大加速度、最大速度、最大変位、可動部質量、冷却方式、許容偏心モーメントなどによって表されます。供試品や治具の質量が大きい場合、または高加速度・大変位の試験を行う場合は、振動発生機の能力確認が重要です。
振動発生機は、電力増幅器、振動制御装置、加速度ピックアップ、治具などと組み合わせて使用します。目的の試験条件を満たすためには、振動発生機単体の仕様だけでなく、システム全体としての能力を確認する必要があります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:加振機、シェーカー、振動台、シェーカ
関連用語:振動試験装置、可動部、電力増幅器
振幅 Amplitude(しんぷく)
振幅とは、振動している量が平均位置または基準位置からどれだけ変化するかを示す量です。サイン波のような正弦振動では、基準位置から最大値までの大きさを振幅と呼びます。振動試験では、変位、速度、加速度、加振力などの大きさを表す際に、振幅という言葉が使われることがあります。
振動試験の条件や装置仕様を確認する際は、振幅の表記方法に注意が必要です。一般に、0-p、p-p、rms などの表記が使われます。0-p は基準位置から最大値までの片振幅、p-p は最大値から最小値までの両振幅、rms は時間的に変動する量の実効値を表します。
振動試験装置の仕様では、サイン加振力やショック加振力は片振幅を示す 0-p、ランダム加振力は rms、最大変位は両振幅を示す p-p で表記されることが多くあります。特に最大変位の p-p は、上限位置から下限位置までの全移動量を示すため、片側の変位量とは異なります。例えば、最大変位 100 mm p-p の場合、中心位置から片側に 100 mm 動くという意味ではなく、全体の移動量が 100 mm であることを示します。
一方で、最大速度は、サイン波振動では正負に変化する速度の最大値として扱われ、仕様表ではピーク速度として示されることが多くあります。速度にも理論上は p-p や rms の考え方がありますが、振動試験装置の仕様では、最大変位のように p-p で示されることは一般的ではありません。最大加速度も同様に、試験波形や仕様書によってピーク値、実効値などの扱いが異なる場合があります。
そのため、仕様表や試験条件を確認する際は、変位は p-p 表記に注意し、速度・加速度はピーク値か実効値かに注意することが重要です。あわせて、加振力、振動数、加速度、速度、変位の各項目について、0-p、p-p、rms のどの値で示されているかを確認する必要があります。
振幅の表記を誤って解釈すると、装置能力の見積もりや試験条件の確認にずれが生じる場合があります。特に、変位条件、加速度条件、ランダム振動条件、ショック条件では、単位だけでなく表記方法もあわせて確認する必要があります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:振動の大きさを表す量です。
関連用語:振幅, amplitude
治具 Fixture, Head Expander, Cube Fixture, Slip Table, Mounting Fixture(じぐ)
治具とは、振動試験や衝撃試験で、供試品を振動発生機、水平加振台、垂直補助テーブルなどに固定するための部品や構造物です。振動試験においては、供試品に意図した振動条件を正しく伝達し、実使用状態に近い取付状態を再現するための重要な構成要素となります。英語では Fixture と表されます。Fixture は供試品を固定する治具全般を指す用語です。関連する装置用語として、Head Expander は垂直補助テーブルを指し、英語圏では一般的な表記です。
振動試験において、治具は供試品を振動発生機、垂直補助テーブル、または水平加振台に固定するために使用されます。供試品を直接可動部に取り付けることが難しい場合や、実際の使用状態に近い取付条件を再現したい場合に用いられます。供試品の形状、寸法、取付穴位置、重心位置、試験方向、実使用時の取付状態に合わせて、供試品を適切に固定するために治具を設計・製作します。
エミックでは、供試品の形状や試験条件に応じて、垂直補助テーブル、水平加振台、サイコロ治具、専用取り付け治具など、各種補助テーブル・治具を提供しています。供試品のサイズや質量、試験方向、加振条件に合わせて最適な構成を選定することで、試験条件を正確に再現し、信頼性の高い評価を実現します。
治具の役割は、単に供試品を固定することだけではありません。供試品に意図した振動条件を正しく伝えること、試験中に供試品が動かないように保持すること、試験方向や取付姿勢を再現すること、可動部やテーブルの取付面を保護することも重要な役割です。
治具は、加振対象となる質量でもあります。そのため、供試品質量だけでなく、治具質量、固定ボルト、アダプタープレートなどを含めた動的質量を考慮し、加振力、振動数、加速度、速度、変位の条件が装置能力内に収まるかを確認します。
治具の剛性が不足している場合や、治具の固有振動数が試験範囲内にある場合、供試品に意図した振動が伝わらないことがあります。治具が共振すると、供試品の一部に過大な応答が生じたり、制御点と供試品応答が一致しなくなったりする場合があります。
そのため、治具設計では、軽量で高剛性にすること、重心位置を考慮すること、取付ボルトの強度や締結状態を確認すること、必要に応じて治具評価を行うことが重要です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:取付治具、試験治具、アタッチメント
関連用語:供試品、格子型治具、サイコロ治具
時刻歴波形 Time History Waveform(じこくれきはけい)
時刻歴波形とは、加速度、速度、変位、力などの物理量が、時間とともにどのように変化するかを表した波形です。英語では Time History Waveform と表されます。
振動試験や地震波再現試験では、実際に計測された振動データや地震動データを時刻歴波形として扱うことがあります。横軸を時間、縦軸を加速度などの物理量として表すことで、いつ、どの程度の揺れが発生したかを確認できます。
地震動の時刻歴波形では、P波の到達、S波による強い揺れ、揺れの継続時間、最大加速度、速度、変位、振動数成分などを確認できます。振動試験装置で時刻歴波形を再現する場合、実測波形、設計用波形、輸送時の実測データ、機械設備の運転波形などを用いて、実使用環境や想定事象に近い条件で供試品を評価します。
時刻歴波形を用いた試験では、波形の再現性、サンプリング間隔、フィルタ処理、加速度・速度・変位の整合、装置の加振力・振動数・加速度・速度・変位能力を確認する必要があります。また、供試品や治具の質量、重心位置、固定方法、共振によって、入力波形と供試品応答が異なる場合があります。
当社の用語集では、時刻歴波形を、実測データや設計条件をもとに振動・衝撃・地震動を時間軸で再現するための重要な波形データとして扱います。
略語・記号:なし
別名・関連表記:時刻歴データ、地震波形、加速度時刻歴
関連用語:地震波、加速度波形、振動台実験
地震試験 Earthquake Test, Seismic Test(じしんしけん)
地震試験とは、地震の揺れを想定して、製品、設備機器、制御盤、ラック、通信機器、電子機器、梱包品、構造物などの挙動や耐久性を確認する試験を指す一般的な表現です。英語では Earthquake Test、Seismic Test などと表されます。
地震試験という表現は、耐震試験、地震波再現試験、地震シミュレーション試験などを広く含む場合があります。ただし、技術的な試験名称としてはやや幅が広く、具体的な試験内容が分かりにくい場合があります。
例えば、地震時に製品が壊れないかを確認する場合は「耐震試験」、実測地震波や設計用地震動を振動台で再現する場合は「地震波再現試験」、一般向けに分かりやすく説明する場合は「地震シミュレーション試験」と表現する方が、試験内容が明確になります。
「震度4以上で作動するか」「震度5強相当で遮断するか」「震度7相当でも転倒しないか」といった評価も、広い意味では地震試験として扱われる場合があります。ただし、実際の試験条件としては、震度だけでなく、加速度、速度、変位、振動数成分、継続時間、入力方向、合否判定基準を明確にする必要があります。
詳細は「耐震試験」または「地震波再現試験」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:地震波再現試験, 地震動再現試験, 地震波形再現試験, 地震波 加振試験, 地震動 加振試験, 時刻歴波形 再現試験, 実波形再現試験, 耐震試験, 地震波シミュレーション, 地震動シミュレーション
関連用語:耐震試験、地震波再現試験、地震シミュレーション試験、震度、地震動、時刻歴波形
地震シミュレーション試験 Earthquake Simulation Test、Seismic Simulation Test(じしんしみゅれーしょんしけん)
地震シミュレーション試験とは、地震時に発生する揺れを試験装置で模擬し、供試品の損傷、転倒、移動、固定状態、機能維持などを確認する試験です。英語では Earthquake Simulation Test、Seismic Simulation Test などと表されます。
地震シミュレーション試験は、専門的な試験名称というより、一般向けに分かりやすく説明するための表現として使われることが多い用語です。実際の試験内容としては、耐震試験、地震波再現試験、地震波形再現試験、時刻歴波形試験などを含む場合があります。
製品、設備機器、制御盤、ラック、通信機器、電子機器、梱包品などの評価では、動電式振動試験装置やサーボ式振動試験装置を使用し、地震動を模擬した波形を入力して試験を行います。大型設備や重心の高い供試品では、転倒、すべり、アンカーボルト、架台剛性、固定方法の確認が重要になります。
また、「震度7相当の地震をシミュレーションする」といった表現が使われる場合がありますが、試験条件としては、震度だけでなく、使用する地震波形、最大加速度、速度、変位、継続時間、入力方向、合否判定基準を明確にする必要があります。
詳細は「耐震試験」または「地震波再現試験」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:地震波再現試験, 地震動再現試験, 地震波形再現試験, 地震波 加振試験, 地震動 加振試験, 時刻歴波形 再現試験, 実波形再現試験, 耐震試験, 地震波シミュレーション
関連用語:耐震試験、地震波再現試験、地震動、時刻歴波形、加振方向
地震体験 Earthquake Experience、Earthquake Simulation Experience(じしんたいけん)
地震体験とは、防災訓練や防災教育を目的として、地震の揺れを人が体験することです。起震車や地震体験装置を用いて、震度階級に応じた揺れや、過去に発生した地震の揺れを体験する場合があります。英語では Earthquake Experience、Earthquake Simulation Experience などと表されます。
地震体験は、地震時の行動、防災意識の向上、家具の固定や避難行動の重要性を理解するために行われます。防災訓練では、震度5強、震度6強、震度7相当などの揺れを体験することで、地震時に身を守る行動を学ぶことが目的になります。
ただし、地震体験は、人が揺れを体験することを目的としたものであり、製品、設備機器、構造物の耐震性能を評価する耐震試験とは目的が異なります。起震車や体験用装置で再現される揺れは、防災教育上分かりやすく調整されている場合があり、試験装置による耐震性能評価とは区別する必要があります。
詳細は「耐震試験」または「地震波再現試験」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:地震波再現試験, 地震動再現試験, 地震波形再現試験, 地震波 加振試験, 地震動 加振試験, 時刻歴波形 再現試験, 実波形再現試験, 耐震試験, 地震波シミュレーション
関連用語:起震車、地震体験装置、震度、耐震試験、地震波再現試験
地震動 Seismic Motion / Ground Motion(じしんどう)
地震動とは、地震によって地盤や構造物に生じる揺れのことです。英語では Earthquake Ground Motion または Seismic Ground Motion と表されます。
地震動は、地震の規模、震源からの距離、地盤条件、建物や構造物の特性によって変化します。同じ地震でも、場所によって揺れの大きさ、継続時間、振動数成分、加速度、速度、変位が異なります。地震動は、単に大きな揺れというだけでなく、時間とともに変化する複雑な振動現象として扱います。
振動試験や耐震試験では、地震動を模擬した波形を用いて、設備、機器、部品、構造物が地震時の揺れに耐えられるかを評価する場合があります。実際に観測された地震動データや、設計で想定した地震動データをもとに、時刻歴波形として加振し、供試品の応答、機能維持、転倒、破損、固定部の健全性などを確認します。
地震動を再現する場合は、加振力、振動数、加速度、速度、変位の条件に加えて、波形の継続時間、入力方向、水平・垂直方向の組合せ、供試品の固定方法、重心位置、治具や架台の剛性を確認します。特に大型供試品や重心の高い供試品では、水平加振台、固定治具、許容偏心モーメントの確認が重要になります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:地震の揺れ、地震入力、地震波入力
関連用語:地震波、震度、加速度波形、応答スペクトル
地震波 Seismic Wave(じしんは)
地震波とは、地震によって発生し、地中や地表を伝わる波です。英語では Seismic Wave と表されます。
地震波には、主にP波とS波があります。P波は比較的速く伝わる波で、S波はP波より遅く伝わりますが、強い揺れを伴うことがあります。地震発生時には、震源から地震波が伝わり、地表や構造物に揺れを生じさせます。
用語集では、地震波と地震動を区別して扱います。地震波は、震源から伝わる波そのものを表す用語です。一方、地震動は、その地震波によって地盤や構造物に生じた揺れを表す用語です。振動試験や耐震試験では、地震波そのものを直接扱うというより、観測された地震動や設計用地震動を、時刻歴波形として振動試験装置で再現する場合があります。
地震波・地震動を用いた試験では、単に最大加速度だけでなく、振動数成分、継続時間、速度、変位、入力方向、供試品の応答を確認することが重要です。特に長周期成分を含む地震動では、大型構造物や高層建築物、設備機器などが大きく長時間揺れる場合があります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:地震波形、地震入力波、地震記録波
関連用語:地震動、時刻歴波形、振動台実験
地震波再現試験 Seismic Wave Replication Test, Seismic Wave Reproduction Test, Earthquake Simulation Test, Seismic Simulation Test, Seismic Ground Motion Test(じしんはさいげんしけん)
地震波再現試験とは、実際に観測された地震動データや、設計上想定した地震動データ、合成地震波などをもとに、振動試験装置で地震時の揺れを再現し、供試品の挙動、損傷、転倒、移動、固定状態、機能維持などを確認する試験です。英語では Seismic Wave Replication Test、Seismic Wave Reproduction Test、Earthquake Wave Reproduction Test などと表されます。
製品、設備機器、制御盤、ラック、通信機器、電子機器、梱包品などを対象とする試験では、動電式振動試験装置や大型3軸サーボ式振動試験装置を用いて、地震動の時刻歴波形を再現します。入力方向は、水平1軸、水平2軸、上下方向、または3軸同時加振となる場合があります。
地震波再現試験では、単純なサイン波やランダム振動ではなく、時間とともに加速度、速度、変位が変化する時刻歴波形を用いる場合があります。実測された地震動波形、設計用地震動、模擬地震波などを入力波形として、供試品に地震時に近い揺れを与えます。
試験条件では、最大加速度だけでなく、速度、変位、振動数成分、継続時間、入力方向、水平・垂直方向の組合せ、応答スペクトルが重要になります。同じ最大加速度であっても、短時間の衝撃的な揺れと、長時間続く低い振動数成分を含む揺れでは、供試品や固定部に与える影響が異なります。
振動試験装置で地震波を再現する場合は、装置の加振力、振動数、加速度、速度、変位の能力を確認する必要があります。特に低い振動数成分や大きな変位を含む地震動では、大きな速度や変位が必要になる場合があり、装置の最大速度や最大変位が試験可否を左右することがあります。
また、供試品の質量、重心位置、取付方法、固定治具の剛性、水平加振台の仕様、許容偏心モーメントなども重要です。大型の供試品や重心の高い供試品では、転倒、すべり、固定部の緩み、治具や架台の共振に注意する必要があります。
実際の地震波や設計用地震動を用いる場合でも、振動試験装置の能力範囲を超える波形をそのまま再現できない場合があります。そのため、装置能力を超える成分については、試験目的に応じて入力波形の振幅、時間軸、振動数成分、応答スペクトルなどを調整することがあります。
この調整では、単に最大加速度を合わせるだけでなく、供試品にとって重要となる応答を考慮します。例えば、共振しやすい振動数帯、固定部に作用する荷重、変位応答、転倒・すべりの可能性、機能維持への影響などを踏まえ、試験目的に対して適切な条件となるように設定します。
「震度〇相当」の試験を行う場合でも、実際には特定の地震波形や設計用地震動を選定し、加速度、速度、変位、振動数成分、継続時間、入力方向などの条件に落とし込んで評価します。震度は一般的な目安として分かりやすい一方、振動試験条件としては、地震波形や物理量を明確にする必要があります。
したがって、地震波再現試験では「実地震波を完全にそのまま再現する」ことだけが目的ではありません。装置の能力範囲内で、供試品に求められる耐震性、機能維持、固定状態、損傷の有無などを適切に評価できる試験条件を設定することが重要です。
地震波再現試験は、耐震試験の具体的な試験方法の一つとして扱われます。
略語・記号:なし
別名・関連表記:地震波再現試験, 地震動再現試験, 地震波形再現試験, 地震波 加振試験, 地震動 加振試験, 時刻歴波形 再現試験, 実波形再現試験, 耐震試験, 地震波シミュレーション, 地震動シミュレーション
関連用語:耐震試験、地震動、時刻歴波形、応答スペクトル、加振方向、水平加振、鉛直加振、三次元振動台
実大振動台実験 Full-scale Shaking Table Test(じつだいしんどうだいじっけん)
実物大またはそれに近い構造物・設備を振動台に載せ、地震時の挙動や損傷を評価する実験です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:実物大振動台実験、実大震動台実験
関連用語:振動台実験、震動台、耐震試験
実効値 Root Mean Square(じっこうち)
実効値とは、時間とともに変化する量の大きさを、同じ効果を持つ一定値として表したものです。英語では Root Mean Square、略して RMS と表されます。
電気分野では、実効値は交流の大きさを直流に換算して表す場合に使われます。例えば交流電圧では、同じ抵抗に対して同じ発熱効果を生じる直流電圧の値として、交流の大きさを実効値で表します。このため、家庭用電源などの交流電圧も、一般に実効値で示されます。
振動試験では、加速度、速度、変位などが時間とともに変化します。特にランダム振動では、加速度が不規則に変動するため、瞬間的な最大値だけでは振動の強さを表しにくい場合があります。そのため、一定時間内の振動の大きさを代表する値として、実効値が使われます。
実効値は、波形の値を二乗し、その平均を求め、さらに平方根を取った値です。二乗してから平均するため、正方向と負方向に変化する振動でも打ち消し合わず、振動のエネルギー的な大きさを表しやすい特徴があります。
一方で、実効値は瞬間的な最大値を表すものではありません。衝撃試験やピーク値が重要な評価では、実効値だけでなく、最大値、ピーク値、p-p値、波形形状などもあわせて確認する必要があります。
振動試験における加速度の実効値については、「加速度実効値」を参照してください。
略語・記号:rms、RMS
別名・関連表記:二乗平均平方根、RMS値
関連用語:加速度実効値、加速度、速度、変位、RMS、加速度パワースペクトル密度、ASD、PSD、ランダム振動試験、ピーク値、p-p値、交流、直流
ジャーク Jerk(じゃーく)
ジャークとは、加速度が時間に対してどれだけ急に変化するかを表す量です。英語では Jerk と表されます。日本語では 加加速度、または 加速度変化率 と呼ばれる場合があります。
JIS B 0153:2001「機械振動・衝撃用語」では、ジャークは 加速度の時間微分で規定されるベクトル と定義されています。つまり、速度の時間微分が加速度であるのに対し、加速度をさらに時間で微分したものがジャークです。
式で表すと、ジャークは次のように整理できます。
速度 = 変位の時間変化
加速度 = 速度の時間変化
ジャーク = 加速度の時間変化
単位は、SI単位では m/s³ です。加速度を G で扱う場合には、G/s のように表される場合もあります。
一般的には、ジャークは、自動車、鉄道、エレベーター、ロボット、搬送装置などの分野で、乗り心地、動作のなめらかさ、機械への負荷、衝撃的な動きの評価に関係します。加速度の大きさが同じでも、加速度が急激に立ち上がる場合と、なだらかに変化する場合では、人体や機械、供試品に与える印象や負荷が異なる場合があります。
当社製品に関連する振動試験・衝撃試験では、ジャークは主要な試験条件として常に指定される用語ではありません。ただし、衝撃波形の立ち上がり、過渡振動、実波形再現、ラトルノイズ評価、車載部品評価などでは、加速度がどれだけ急に変化するかが、供試品の応答、異音、接触、破損、制御状態に影響する場合があります。
特に衝撃試験では、最大加速度だけでなく、波形の立ち上がり時間、作用時間、速度変化、変位、波形形状なども重要です。ジャークは、これらの条件と関連して、加速度波形の急峻さを理解する補助的な用語として扱うのが適切です。
なお、規格上の根拠としては、JIS B 0153:2001がISO 2041:1990を対応国際規格とする機械振動・衝撃用語のJISであり、JSAの掲載情報では2025年10月20日に確認され、状態は有効とされています。 また、現在の国際規格としては ISO 2041:2018「Mechanical vibration, shock and condition monitoring — Vocabulary」が発行されており、2024年に確認されて現行版として扱われています。
詳細は 「加速度」「加速度波形」「衝撃波形」「過渡振動」「速度変化」「ラトルノイズ試験」 を参照してください。
略語・記号:m/s³ , G/s
別名・関連表記:加加速度、加速度変化率
関連用語:加速度、加速度波形、衝撃波形、過渡振動、ピーク値
自由度 Degree of Freedom(じゆうど)
自由度とは、物体や構造物が動くことのできる独立した運動方向や運動成分の数を表す用語です。英語では Degree of Freedom と表され、略して DOF と記載される場合があります。
一般的な剛体では、前後・左右・上下の並進3方向と、各軸まわりの回転3方向を合わせて、6自由度で運動を表すことができます。
振動試験では、加振方向、供試品の拘束条件、治具の固定状態、構造物の振動モードなどを考える際に自由度の考え方が関係します。単軸加振では1方向の振動を与えますが、供試品の応答としては複数方向の振動や回転成分が生じる場合があります。
詳細は「加振方向」「モード解析」「モードパラメータ」「共振」を参照してください。
略語・記号:DOF
別名・関連表記:運動自由度、6自由度
関連用語:加振方向、モード解析、モードパラメータ、共振
重力加速度 Gravitational Acceleration(じゅうりょくかそくど)
重力加速度とは、地球上で物体が重力によって受ける加速度です。英語では Gravitational Acceleration と表され、記号は g または G が使われます。
標準重力加速度は 9.80665 m/s² です。振動試験や衝撃試験では、加速度を m/s² で表すほか、重力加速度を基準にした G 単位で表す場合があります。例えば、1 G は約 9.8 m/s² に相当します。
国内の試験条件では m/s² 表記が使われる場合がありますが、海外規格や海外顧客の振動試験条件では、G、Grms などの表記が使われることがあります。
詳細は「加速度」「加速度実効値」「Grms」「ガル」を参照してください。
略語・記号:g / G
別名・関連表記:標準重力加速度、G、gravity
関連用語:加速度、加速度実効値、Grms、ガル、衝撃加速度
垂直補助テーブル Vertical Auxiliary Table(すいちょくほじょてーぶる)
垂直補助テーブルとは、振動発生機の可動部に取り付け、供試品や固定治具を垂直方向の振動試験に適した状態で搭載するための補助テーブルです。垂直テーブル、補助テーブル、ヘッドエキスパンダーと呼ばれることもあります。
垂直補助テーブルを使用する主な目的は、振動発生機の可動部だけでは不足する取付面を拡張し、供試品や固定治具を取り付けやすくすることです。供試品が可動部の取付面より大きい場合、供試品の取付穴位置が可動部のねじ穴パターンと合わない場合、供試品を直接固定するための専用治具を取り付ける場合などに使用します。
振動試験では、供試品を可動部へ直接取り付けるだけでなく、供試品の形状、寸法、重心位置、取付姿勢、取付穴位置に合わせて、固定治具やアダプタープレートを介して取り付けることがあります。垂直補助テーブルに取付ボルト用のねじ穴を設けることで、複数の供試品や治具に対応しやすくなり、試験準備や段取り替えの効率向上にもつながります。
また、垂直補助テーブルは、可動部の取付穴やインサートを保護する役割もあります。供試品や治具を繰り返し取り付ける試験では、可動部側のねじ穴が摩耗したり、取付部に負荷が集中したりする場合があります。補助テーブルやアダプタープレートを介することで、可動部への直接的な負担を抑え、供試品ごとの取付条件を調整しやすくなります。
ただし、垂直補助テーブルとアダプタープレートは完全に同じものではありません。垂直補助テーブルは、可動部の取付面を広げ、供試品や治具を搭載しやすくするための補助テーブルです。一方、アダプタープレートは、取付穴位置の変換、取付面の調整、可動部保護、専用治具との接続などを目的として使用されるプレートです。用途は重なる場合がありますが、用語集では関連用語として整理します。
一方で、垂直補助テーブルは便利な部品であると同時に、加振対象となる質量でもあります。垂直補助テーブル、固定治具、供試品、固定ボルトなどの質量は、実際に動かす動的質量として考える必要があります。そのため、試験可否を判断する際は、加振力、振動数、加速度、速度、変位、供試品質量、治具質量、可動部質量をあわせて確認します。
特に、大きな供試品や張り出しのある治具を取り付ける場合は、テーブルや治具の剛性、共振、重心位置、許容偏心モーメントに注意が必要です。補助テーブルや治具の一部が試験中に共振すると、供試品の取付点が同じ運動をしなくなり、意図しない過大応答、横方向の振動、試験条件の乱れにつながる場合があります。
垂直補助テーブルを選定・設計する際は、単に大きなテーブルを選ぶのではなく、供試品の取付方法、必要な試験方向、振動数範囲、加速度条件、治具剛性、質量、作業性を総合的に確認することが重要です。必要に応じて、専用治具、アダプタープレート、L型フック、ねじ穴パターン、軽量高剛性材料などを組み合わせ、目的の試験条件を安定して再現できる構成を検討します。
略語・記号:なし
別名・関連表記:リブ型治具、VT治具、垂直振動治具、垂直テーブル、補助テーブル、ヘッドエキスパンダー、垂直補助テーブル治具 Vertical Auxiliary Table / Head Expander
関連用語:可動部、振動発生機、固定治具、試験治具、アダプタープレート、ヘッドエキスパンダー、加振力、可動部質量、許容偏心モーメント、治具共振
水平加振 Horizontal Excitation(すいへいかしん)
水平加振とは、供試品に対して水平方向の振動負荷を与えることです。英語では Horizontal Excitation または Horizontal Vibration と表されます。
振動試験では、供試品を垂直方向に加振するだけでなく、実際の使用状態や輸送状態、地震時の揺れを想定して、水平方向に加振する場合があります。水平加振は、自動車部品、鉄道用品、輸送包装品、設備機器、耐震試験などで重要になります。
水平加振を行う場合は、振動発生機と水平加振台を組み合わせて使用することがあります。水平加振台は、供試品を水平方向に動かすためのテーブルで、スリップテーブル、水平テーブル、水平振動台などと呼ばれることもあります。
水平加振では、供試品の重心位置や取付姿勢が試験結果に影響します。重心が高い供試品や、取付位置が加振中心からずれている供試品では、ピッチングやローリング、偏心モーメントが発生する場合があります。そのため、供試品質量、治具質量、重心位置、固定方法、許容偏心モーメントを確認することが重要です。
また、水平加振台や固定治具の剛性が不足していると、供試品の取付点が意図した運動をしなかったり、治具やテーブルの共振によって過大な応答が発生したりする場合があります。試験条件を検討する際は、加振力、振動数、加速度、速度、変位に加えて、治具剛性、取付ボルト、テーブル寸法、試験方向をあわせて確認します。
略語・記号:なし
別名・関連表記:前後左右加振、X方向加振、Y方向加振
関連用語:鉛直加振、水平加振台、三次元振動台
水平加振台 Horizontal Slip Table(すいへいかしんだい)
水平加振台とは、振動発生機と組み合わせて、供試品に水平方向の振動負荷を与えるための加振台です。スリップテーブル、水平テーブル、水平振動台と呼ばれることもあります。
振動試験では、供試品の使用姿勢や取付姿勢を変えられない場合、大型供試品を垂直方向に取り付けることが難しい場合、水平方向の振動条件を再現したい場合に、水平加振台を使用します。家電製品、情報機器、鉄道車両搭載機器、信号機、自動車部品、航空宇宙機器など、さまざまな分野で使用されます。
水平加振台では、供試品をテーブル上に取り付け、振動発生機からの加振力を水平方向に伝えます。汎用型の水平加振台では、テーブルとベースの間に油膜を形成して滑らかに動かす油膜スリップ方式や、偏心モーメントを支持するリニアベアリングなどが用いられる場合があります。これにより、重心の高い供試品や重心がずれた供試品でも、安定した水平方向の加振を行いやすくなります。
一方で、水平加振台を使用する場合は、供試品や治具の質量、重心位置、固定位置、テーブル寸法、許容偏心モーメント、加振方向を確認する必要があります。供試品の固定条件によって、発生する偏心モーメントを小さくできる場合があり、試験目的に応じた取付方法や治具設計が重要になります。
エミックでは、垂直方向の試験に加え、水平加振台を用いた水平方向の振動試験にも対応します。複合環境試験装置では、水平加振台に対応した温(湿)度試験槽の移動機構や、水平・垂直方向の切り替えを効率化する機構を組み合わせる場合があります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:水平テーブル、スリップテーブル、水平振動台
関連用語:水平振動、垂直振動、治具
制御点 Control Point(せいぎょてん)
制御点とは、振動試験で目標とする振動条件を制御するために、加速度ピックアップなどのセンサを取り付けて計測する点です。英語では Control Point と表されます。
振動試験では、振動制御装置が制御点で計測した加速度などをもとに、振動発生機の出力を調整します。設定した加速度、振動数、PSD、衝撃波形などに近づくように制御するため、制御点の位置は試験結果に大きく影響します。
制御点は、供試品の取付部、治具上、振動台上などに設定されます。どこを制御点にするかは、試験目的や規格、供試品の構造、治具の剛性、計測したい応答によって異なります。供試品の応答を重視する場合と、振動台や治具の入力条件を重視する場合では、適切な制御点が異なることがあります。
制御点とは別に、供試品や治具の応答を確認するための計測点を設定する場合があります。制御点は装置を制御するための点、計測点は供試品や治具の応答を確認するための点として区別します。
制御点の位置が不適切な場合、供試品に意図した振動条件が加わらなかったり、局所的な共振を制御してしまったり、逆に供試品の重要部位に過大な応答が発生したりすることがあります。そのため、制御点は、供試品の取付状態、治具剛性、加振方向、試験目的を踏まえて設定する必要があります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:制御チャンネル、コントロールポイント
関連用語:振動制御装置、加速度ピックアップ、監視点
正弦波振動試験 Sinusoidal Vibration Test(せいげんはしんどうしけん)
正弦波振動試験とは、正弦波の振動を供試品に与え、耐久性、信頼性、共振、機能異常などを確認する振動試験です。サイン波振動試験、サイン振動試験、Sinusoidal Vibration Test と呼ばれることもあります。
正弦波振動は、振幅と時間の関係が正弦波、つまりサインカーブになる規則的な振動です。振動数、加速度、速度、変位の関係が明確であるため、試験条件を定量的に設定しやすく、共振探索や特定振動数での耐久性確認に適しています。
正弦波振動試験には、固定した振動数で加振するポイント試験と、振動数を連続的に変化させる掃引試験があります。ポイント試験は、特定の振動数での特性評価や共振耐久評価に用いられます。掃引試験は、指定した振動数範囲を連続的に変化させながら加振し、供試品の共振点や応答の大きい振動数を確認するために用いられます。
試験条件を設定する際は、加振力、振動数、加速度、速度、変位に加えて、試験時間、掃引速度、掃引回数、試験方向、制御点、計測点を確認します。共振点付近では応答が大きくなる場合があるため、供試品や治具の破損、ねじの緩み、接触不良、異音、機能異常などに注意して条件を設定します。
略語・記号:Fc
別名・関連表記:サイン振動試験、サイン試験、Sine vibration test
関連用語:サイン波、掃引、共振探索、振動試験
正弦波振動掃引試験 Sine Vibration Sweep Test(せいげんはしんどうそういんしけん)
正弦波振動掃引試験とは、正弦波振動の振動数を一定の範囲で連続的に変化させながら、供試品の応答を確認する振動試験です。サイン波掃引試験、スイープ試験、掃引試験、Sine Sweep Test と呼ばれることもあります。
正弦波振動掃引試験では、指定した振動数範囲を低い振動数から高い振動数へ、または高い振動数から低い振動数へ連続的に変化させます。試験条件としては、振動数範囲、掃引速度、加速度、速度、変位、掃引回数、試験方向などを設定します。
この試験は、供試品や治具の共振を確認する目的でよく用いられます。振動数を変化させながら加振することで、どの振動数で応答が大きくなるかを確認し、共振探索、特性評価、耐久試験条件の検討、治具や固定方法の確認に役立てます。
共振点付近では、入力した加振レベルに対して供試品の応答が大きくなる場合があります。そのため、制御点と計測点の位置、加速度ピックアップの取付状態、リミット条件、試験停止条件を適切に設定し、供試品や振動試験装置に過大な負荷がかからないよう確認することが重要です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:サイン加振、スイープテスト、サインスイープ試験、正弦波掃引試験
関連用語:サイン波、掃引、振動数
正弦半波 Half Sine Shock Pulse(せいげんはんぱ)
正弦半波とは、正弦波の半周期分の形状を用いた衝撃波形です。英語では Half-sine Pulse または Half-sine Shock と表され、衝撃試験で用いられる代表的な波形の一つです。
正弦半波は、0から立ち上がり、最大加速度に達したあと、再び0に戻る滑らかな半波形です。衝撃試験では、最大加速度と衝撃パルス作用時間を組み合わせて条件を設定します。例えば、衝撃パルス作用時間が 6 ms、11 ms などの場合、正弦半波の形状でその時間内に衝撃負荷を与えることがあります。
正弦半波は、瞬間的に大きな衝撃を与える波形でありながら、比較的滑らかな波形であるため、電子機器、自動車部品、輸送機器、航空宇宙機器などの機械的衝撃試験で用いられることがあります。供試品の破損、変形、ねじの緩み、接触不良、機能停止、センサ応答などを確認するために使用されます。
振動試験装置で正弦半波のショック試験を行う場合、主パルスだけでは速度や変位が残ることがあるため、補償波としてプリロード・ポストロードを設定する場合があります。プリロード・ポストロードの詳細は、別項目として説明します。
正弦半波は「サイン波振動」と名称が似ていますが、連続的に繰り返す正弦波振動ではなく、短時間に作用する衝撃波形として扱います。
略語・記号:なし
別名・関連表記:半正弦波、ハーフサイン、半サイン波、Half-sine Pulse、Half-sine Shock、Half-sine、正弦半波衝撃パルス
関連用語:衝撃試験、衝撃パルス作用時間、ショック加振力、プリロード・ポストロード、衝撃波形、最大加速度、速度変化、振動制御装置
正弦半波衝撃パルス Half-sine Shock Pulse(せいげんはんぱしょうげきぱるす)
正弦半波衝撃パルス(Half-sine Shock Pulse)とは、正弦波の1サイクルのうち、正または負の半周期部分の時刻歴を持つ理想衝撃パルスです。ハーフサイン、半正弦波、正弦半波パルスと呼ばれることもあります。
衝撃試験では、比較的滑らかに立ち上がり、最大値に達したあと、再びゼロに戻る衝撃波形として用いられます。供試品に短時間の衝撃加速度を与える条件として、最大加速度と衝撃パルス作用時間を組み合わせて設定します。
正弦半波衝撃パルスは、理想化された波形形状です。実際の試験では、装置、治具、供試品、制御点、センサ特性などの影響を受けるため、完全な正弦半波形状になるわけではありません。実測される衝撃応答波形が、規定されたトレランス範囲内に収まるように制御することが重要です。
詳しくは「理想衝撃パルス」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:半正弦波、ハーフサイン、半サイン波、Half-sine Pulse、Half-sine Shock、Half-sine、正弦半波衝撃パルス
関連用語:理想衝撃パルス、衝撃試験、衝撃パルス作用時間、最大加速度、台形波衝撃パルス、のこぎり波衝撃パルス
赤外線照射試験 Infrared Irradiation Test(せきがいせんしょうしゃしけん)
赤外線照射試験とは、赤外線ランプなどを用いて供試品に赤外線を照射し、放射熱による温度上昇や熱影響を確認する試験です。英語では Infrared Radiation Test または Infrared Irradiation Test と表すことができます。
赤外線は、可視光より波長が長い電磁波で、熱として感じられる放射成分として扱われることがあります。赤外線照射試験では、供試品表面や内部が赤外線によってどのように加熱されるか、温度上昇、変形、機能変化、材料劣化、熱による不具合などを確認します。
当社製品・サービスに関連する説明では、赤外線照射試験は、太陽光全体を模擬する試験というより、赤外線による放射熱の影響を確認する試験として整理します。例えば、供試品が赤外線によって局所的に加熱される場合や、熱源に近い環境で使用される場合などに、放射熱の影響を評価する考え方が関係します。
日射試験と赤外線照射試験は、どちらも「光を当てる」「照射によって温度が上がる」という点で似ています。しかし、日射試験は紫外線・可視光・赤外線を含む太陽光環境の再現を目的とするのに対し、赤外線照射試験は主に赤外線領域による熱影響に着目します。そのため、両者は同じ試験として扱わず、目的と照射条件を分けて確認する必要があります。
なお、赤外線に関する用語は、熱画像、赤外線カメラ、非破壊検査、建築物の熱異常検出などでも使われます。例えば ISO 6781-1:2023 は、建築物における熱・空気・湿気の異常を赤外線手法で検出する手順を扱っていますが、これは赤外線照射による環境試験そのものではありません。
詳細は 「日射試験」「高温試験」「自然環境」「環境試験」「放射熱」 を参照してください。
略語・記号:IR irradiation test / IR exposure test / IR heating test
別名・関連表記:赤外線ランプ照射試験 / 赤外線ランプ加熱試験 / IR照射試験 / IR加熱試験 / 放射熱試験 / 輻射熱試験 / 放射加熱試験 / 熱放射試験 / Radiant heat test / Radiant heat exposure test / Infrared lamp heating test / Infrared radiation exposure test / Thermal radiation test
関連用語:赤外線 / IR / 赤外放射 / 熱放射 / 放射熱 / 輻射熱 / 放射照度 / 熱流束 / 表面温度 / 温度上昇 / IRヒーター / ハロゲンランプ / 赤外線ランプ / 近赤外線 / 中赤外線 / 遠赤外線 / 熱画像 / 赤外線サーモグラフィ
赤外線照射付大型複合環境試験装置 Large Combined Environmental Test System with Infrared Irradiation(せきがいせんしょうしゃつき おおがたふくごうかんきょうしけんそうち)
赤外線照射付大型複合環境試験装置とは、大型の温(湿)度試験槽または温(湿)度環境試験室に、赤外線照射機能を組み合わせた複合環境試験装置です。英語では Large Combined Environmental Testing System with Infrared Irradiation と表すことができます。
この装置では、温度・湿度の環境条件に加えて、赤外線ランプなどによる照射条件を与えることで、供試品が受ける放射熱や日射に近い環境影響を再現します。自動車部品、内装部品、樹脂部品、シート、インスツルメントパネル、大型ユニットなど、実使用環境で太陽光や放射熱の影響を受ける供試品の評価に関係します。当社の温(湿)度環境試験装置では、温(湿)度試験槽を基本システムとして、赤外線照射、低湿度、降雨、超低温、腐食など、特定の環境ストレス因子を加えた試験装置を構成することがあります。赤外線照射付の構成では、温(湿)度試験槽に赤外線ランプを設置し、太陽光環境そのものではなく、主に赤外線による放射熱や供試品表面の温度上昇に着目した試験を行います。
赤外線照射付大型複合環境試験装置は、単に槽内温度を上げる装置ではありません。槽内の空気温度や湿度を制御しながら、供試品表面に赤外線照射による熱負荷を与える点に特徴があります。そのため、試験条件を確認する際は、槽内温度、湿度、照射条件、供試品表面温度、照射距離、供試品の配置、測定位置、有効空間などをあわせて確認する必要があります。
なお、赤外線照射を用いる構成は、日射環境を再現する目的で使用される場合がありますが、日射試験と赤外線照射試験は同じ試験ではありません。 日射試験は太陽光環境の再現を目的とし、紫外線、可視光、赤外線などを含む光環境を扱います。一方、赤外線照射試験は、主に赤外線による放射熱や表面温度上昇に着目します。本用語では、赤外線照射機能を備えた大型の複合環境試験装置として整理します。
詳細は 「赤外線照射試験」「日射試験」「複合環境試験」「温(湿)度試験槽」「温(湿)度環境試験室」「有効空間」 を参照してください。
略語・記号:IR
別名・関連表記:赤外線照射試験装置、複合環境試験装置、IR照射試験装置
関連用語:複合環境試験装置、温湿度試験槽、振動試験装置
設定温度 Temperature Setpoint(せっていおんど)
設定温度とは、温(湿)度試験槽、環境試験室、恒温恒湿室、複合環境試験装置などで、試験中に目標として設定する温度です。英語では Set Temperature または Temperature Setpoint と表されます。
環境試験では、供試品を高温、低温、温度変化、温度サイクルなどの条件にさらし、耐久性、信頼性、機能、材料特性などを確認します。このとき、試験槽内や試験室内で目標とする温度が設定温度です。
設定温度は、試験槽や試験室の制御上の目標値であり、供試品の実際の温度と必ずしも同じではありません。供試品の材質、質量、熱容量、発熱の有無、取付方法、風の当たり方、槽内・室内の温度分布によって、供試品が設定温度に到達するまでの時間や温度のばらつきが変わります。
複合環境試験では、設定温度に加えて、湿度、振動条件、通電状態、動作確認、熱風負荷、回転負荷などを組み合わせる場合があります。振動試験装置と温(湿)度試験槽や環境試験室を組み合わせる場合は、槽内温度や室内温度だけでなく、供試品の取付姿勢、治具材料、断熱、センサ配線、温度到達時間も確認します。
試験条件を確認する際は、設定温度、温度範囲、温度変化速度、温度保持時間、供試品温度、槽内・室内の温度分布を区別することが重要です。
略語・記号:℃, K
別名・関連表記:温度設定値、設定値、セットポイント
関連用語:温度試験槽、到達温度、温度安定化
絶縁スタッド Insulating Stud / Insulated Stud(ぜつえんすたっど)
絶縁スタッドとは、部品や構造物を固定・支持しながら、電気的には導通させないために使用するスタッド部品です。英語では Insulating Stud または Insulated Stud と表すことができます。
一般的に、スタッドは部品を取り付けたり、位置決めしたりするためのねじ付き部品を指します。絶縁スタッドは、金属部品同士を機械的に固定しながら、電気的な絶縁を確保したい場合に使用されます。絶縁材料を用いた構造や、金属部と絶縁部を組み合わせた構造により、電流が意図しない箇所へ流れることを防ぎます。
当社製品に関連する振動試験装置や衝撃試験装置では、電気的な絶縁が必要な部品の固定、センサや治具周辺の絶縁、電気系統と機械構造部の絶縁などで、絶縁スタッドが使われる場合があります。特に、加速度ピックアップ、計測ケーブル、供試品、治具、可動部、電気配線などが関係する箇所では、不要な導通やノイズの混入を避けるために、絶縁状態を確認することが重要です。
振動試験では、絶縁スタッドを使用する場合でも、機械的な固定強度、締結状態、振動による緩み、共振、取付面の剛性などを確認する必要があります。絶縁性だけでなく、試験中の振動や衝撃に耐えられる構造であることが重要です。
また、絶縁スタッドは、単に「電気を通さない部品」というだけではなく、機械的な支持と電気的な絶縁を両立する部品として扱います。使用箇所によって、耐電圧、絶縁抵抗、材質、強度、取付方法、使用温度範囲などを確認します。
詳細は「治具」「加速度ピックアップ」「振動制御装置」「絶縁抵抗」「クロストーク」を参照してください。
略語・記号:なし
別名・関連表記:絶縁用スタッド、絶縁支持スタッド、絶縁ねじ、絶縁スペーサ
関連用語:治具、加速度ピックアップ、振動制御装置、絶縁抵抗、クロストーク、ノイズ、供試品、可動部、締結
絶対湿度 Absolute Humidity(ぜったいしつど)
絶対湿度とは、空気中に含まれる水蒸気の量を表す指標です。英語では Absolute Humidity と表されます。
一般には、単位体積あたりの水蒸気量や、乾燥空気1 kgあたりに含まれる水蒸気量として表されます。湿度を物理的な水分量として扱いたい場合に用いられます。
相対湿度が温度によって大きく変化するのに対し、絶対湿度は空気中に含まれる水蒸気の実量を把握する考え方です。同じ水蒸気量でも、温度が高くなると相対湿度は低くなり、温度が低くなると相対湿度は高くなります。そのため、湿度条件を正しく理解するには、温度と湿度をあわせて確認する必要があります。
温湿度試験や複合環境試験では、一般に試験条件として相対湿度が指定されることが多いですが、結露、乾燥、吸湿、材料劣化、電子部品の絶縁性などを考える場合、空気中に含まれる水分量の考え方も重要になります。
当社の用語集では、絶対湿度を、相対湿度と対比して理解するための関連用語として扱います。温(湿)度試験槽の試験条件では、設定温度、相対湿度、温度変化速度、結露の有無をあわせて確認します。
略語・記号:なし
別名・関連表記:水蒸気量、g/m3
関連用語:相対湿度、露点、温湿度試験槽
掃引 Sweep(そういん)
掃引とは、振動試験で加振する振動数を、一定の範囲内で連続的に変化させることです。英語では Sweep と表され、スイープ、周波数掃引、振動数掃引と呼ばれることもあります。
掃引は、主に正弦波振動試験で用いられます。低い振動数から高い振動数へ変化させる上昇掃引、高い振動数から低い振動数へ変化させる下降掃引、往復して行う往復掃引などがあります。掃引速度は、oct/min、Hz/s などで表されることがあります。
掃引を行うことで、供試品や治具がどの振動数で大きく応答するかを確認できます。そのため、共振探索、振動特性評価、耐久試験条件の設定、治具剛性の確認などに利用されます。
掃引条件を設定する際は、振動数範囲、掃引速度、加速度、速度、変位、掃引回数、試験方向を確認します。掃引速度が速すぎると、供試品の応答を十分に捉えられない場合があります。一方で、掃引速度が遅いと試験時間が長くなり、供試品に与える負荷が大きくなる場合があります。
略語・記号:なし
別名・関連表記:周波数掃引、振動数掃引、スイープ
関連用語:サイン波、振動数、共振
相対湿度 Relative Humidity(そうたいしつど)
相対湿度とは、ある温度の空気が含むことのできる最大水蒸気量に対して、実際に含まれている水蒸気量の割合を表す指標です。英語では Relative Humidity と表され、一般に %RH で表記されます。
相対湿度は、温湿度試験や恒温恒湿試験でよく使われる湿度条件です。例えば、85 ℃、85 %RH のように、温度と相対湿度を組み合わせて試験条件を設定することがあります。
相対湿度は温度の影響を受けます。同じ水蒸気量でも、温度が変わると相対湿度も変化します。そのため、相対湿度だけを見るのではなく、設定温度、温度変化、温度安定状態をあわせて確認することが重要です。
温(湿)度試験槽では、湿度制御が可能な温度範囲に制約がある場合があります。低温域では湿度制御が難しい場合や、条件によっては結露が発生する場合があります。供試品の材質、表面温度、発熱、通電状態によっても、湿度条件の影響は変わります。
複合環境試験では、振動負荷と温湿度負荷を同時または連動して与える場合があります。この場合、振動による供試品や治具の動き、ケーブル配線、槽内の気流、センサの取付状態などが試験に影響するため、温度・湿度条件と振動条件を一体で確認します。
略語・記号:RH
別名・関連表記:相対湿度RH、湿度、%RH
関連用語:温湿度試験槽、絶対湿度、露点
速度 Velocity(そくど)
速度とは、物体の位置が時間とともに変化する割合を表す量です。振動における速度は、振動している可動部、振動台、供試品などがどの程度の速さで往復運動しているかを示します。単位は m/s を基本に使用しますが、仕様や海外規格では mm/s、inch/s が使われる場合もあります。
振動試験では、速度は加振力、振動数、加速度、変位とともに、試験条件や装置能力を判断する重要な項目です。サイン波振動では、振動数、加速度、速度、変位は互いに関係しています。そのため、ある振動数で指定した加速度や変位を満たそうとすると、必要な速度が装置の最大速度を超える場合があります。
特に、中間の振動数帯では、最大速度が試験可否を左右することがあります。低い振動数では最大変位、高い振動数では加振力や加速度が制約になりやすい一方で、一定の振動数帯では速度性能が重要になります。
速度にも理論上はピーク値、p-p値、rms値の考え方がありますが、振動試験装置の仕様では、最大速度はピーク速度として示されることが多く、最大変位のように p-p で示されることは一般的ではありません。試験条件や仕様表を確認する際は、速度がピーク値なのか、実効値なのか、また単位が m/s、mm/s、inch/s のどれで示されているかを確認することが重要です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:m/s、mm/s、振動速度、速度振幅
関連用語:加速度、変位、振動数、加振力、正弦波振動、動電式振動試験装置、可動部、搭載質量、治具