専門用語集

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加振 Excitation(かしん)

供試品や構造物に対して、試験目的に応じた振動を人工的に与えることです。振動試験では、振動試験装置を用いて、加振力、振動数、加速度、速度、変位などの条件を設定し、供試品に振動負荷を与えます。

加振には、一定の振動数で振動を与えるサイン波加振、複数の振動数成分を含むランダム加振、短時間に大きな加速度を与えるショック加振などがあります。試験では、供試品の使用環境や輸送環境を想定し、共振、耐久性、機能異常、部品の緩みや破損などを確認します。

加振条件を設定する際は、供試品や治具の質量、試験方向、取付状態、必要な加速度、振動数範囲、最大変位などを考慮し、振動試験装置の能力範囲内で試験条件を決定します。

略語・記号:なし

別名・関連表記:振動を与える、加振する、振動入力、振動付与

関連用語:加振力、振動試験、振動発生機、加振、励振、excitation、stimulus

加振方向 Excitation Direction / Vibration Direction(かしんほうこう)

加振方向とは、振動や衝撃を与える方向を表す用語です。英語では Excitation Direction、または Vibration Direction と表されます。

一般的には、物体に対して力や振動を加える向きを示します。上下方向、左右方向、前後方向など、基準となる座標軸に対してどの方向に入力を与えるかを表します。

振動試験では、供試品に対してどの方向に振動を与えるかを示す重要な試験条件です。一般に、垂直方向、水平一方向、水平二方向、前後方向、左右方向、上下方向などで表されます。製品の使用状態や輸送状態、取付状態に応じて、適切な加振方向を設定します。

動電式振動試験装置では、振動発生機の向きや水平加振台、垂直補助テーブルなどを組み合わせることで、垂直方向または水平方向の加振を行います。供試品の取付方向を変えることで、X方向、Y方向、Z方向の各方向に対して試験を行う場合もあります。

加振方向は、供試品の応答や破損モードに大きく影響します。同じ加速度条件であっても、上下方向と水平方向では、重力、取付部の荷重、重心位置、治具剛性、供試品内部の構造により、応答が異なる場合があります。

耐震試験や地震波再現試験では、水平一方向、水平二方向、上下方向、または三軸同時加振として加振方向を設定する場合があります。試験条件を確認する際は、加速度値だけでなく、加振方向、取付姿勢、制御点、監視点をあわせて確認することが重要です。

略語・記号:なし

別名・関連表記:X方向、Y方向、Z方向、上下方向、左右方向、前後方向、垂直方向、水平方向、試験方向

関連用語:垂直加振、水平加振、水平加振台、垂直補助テーブル、X方向、Y方向、Z方向、制御点、監視点、地震波再現試験、耐震試験

加振力 Exciting Force(かしんりょく)

加振力とは、振動試験装置が供試品や取付治具などを振動させるために発生する力です。振動試験装置が、対象物を所定の加速度で動かすことのできる能力を示す重要な仕様項目の一つで、一般にN(ニュートン)またはkN(キロニュートン)で表します。

必要な加振力は、基本的に次の関係で考えます。

加振力 = 質量 × 加速度

加振力は、感覚的には「どれだけ重いものを、どれだけ大きな加速度で動かすか」を表す値です。

例えば、質量を横の長さ、加速度を縦の長さとする長方形を考えると、その面積に相当する「質量と加速度の積」が加振力になります。これは物理的な面積を表すものではありませんが、質量または加速度のどちらかが大きくなると、必要な加振力も大きくなることを感覚的に理解できます。

ここでいう質量には、供試品だけでなく、取付治具、補助テーブル、振動発生機の可動部など、実際に振動させる部分の質量が含まれます。そのため、供試品の質量が同じでも、使用する取付治具や補助テーブルによって必要な加振力は変わります。

同じ加速度で試験する場合、供試品や治具が重くなるほど、大きな加振力が必要です。反対に、同じ質量であっても、より高い加速度で動かす場合には、大きな加振力が必要になります。

例えば、質量が2倍になれば、同じ加速度を発生させるために必要な加振力も基本的に2倍になります。また、加速度が2倍になった場合も、必要な加振力は基本的に2倍になります。

この関係を確認することで、次のようなことを判断できます。

  • 供試品と治具を取り付けた状態で、必要な加速度を発生できるか
  • 使用する振動試験装置が、試験条件に対して十分な能力を持っているか
  • 治具の質量が装置の能力を過度に使用していないか
  • 定格加振力に対して、十分な余裕があるか
  • 供試品質量、治具質量、加速度など、どの条件を見直す必要があるか

ただし、振動試験装置で実施できる試験条件は、加振力だけで決まるものではありません。装置を選定する際には、加振力に加えて、振動数、加速度、速度、変位などの仕様を総合的に確認する必要があります。

また、正弦波振動試験、ランダム振動試験、衝撃試験では、加振力の評価方法や表記条件が異なる場合があります。そのため、加振力の数値だけでなく、ピーク値または実効値(RMS)のどちらで示されているか、どのような試験条件に基づく値であるかも併せて確認することが重要です。

当社では、「加振力」の英語表記として「Exciting Force」を採用しています。海外メーカーや技術資料では、用途や定格条件によって「Rated Force」「Force Output」「Shaker Force」などの表記も使用されています。

略語・記号:なし

別名・関連表記:推力、発生力、フォース、Rated Force、Force Output、Shaker Force

関連用語:最大加振力、振動試験装置、振動発生機、供試品、治具、可動部、質量、加速度、振動数、速度、変位

加速度 Acceleration(かそくど)

加速度とは、速度が時間とともに変化する割合を表す量です。振動試験では、供試品に与える振動の強さを示す代表的な条件として用いられます。単位は m/s² または G で表され、サイン波試験、ランダム振動試験、ショック試験などで設定・制御・計測されます。振動試験では、加振力、振動数、加速度、速度、変位を総合的に確認し、供試品や治具に過大な負荷がかからないか、装置能力の範囲内で試験できるかを判断します。

振動試験で用いる単位は、国際単位系(SI)を基本とします。ただし、米国系の試験条件、軍用規格、航空宇宙分野の仕様書などでは、加速度に G、速度に inch/s、変位に inch などの単位が用いられる場合があります。そのため、海外規格や顧客仕様に基づく試験では、SI単位への換算を行い、加振力、振動数、加速度、速度、変位の各条件が装置能力の範囲内にあるかを確認します。

略語・記号:m/s², G

別名・関連表記:振動加速度、m/s²、G

関連用語:最大加速度、加速度ピックアップ、振動数

加速度応答 Acceleration Response(かそくどおうとう)

加速度応答とは、外部から振動や衝撃を受けた物体が、どのような加速度で応答したかを表すものです。英語では Acceleration Response と表されます。

一般的には、構造物、機械、部品、センサなどが入力された振動や衝撃に対して示す加速度の反応を指します。同じ入力を与えても、対象物の質量、剛性、減衰、取付状態、固有振動数によって、加速度応答は変わります。

振動試験では、振動台に与えた入力加速度に対して、供試品や治具の各部がどのように揺れているかを確認するために加速度応答を測定します。供試品に加速度ピックアップを取り付けることで、振動台上の入力条件だけでなく、供試品の実際の応答を確認できます。

供試品に共振がある場合、特定の振動数で加速度応答が大きくなることがあります。このため、共振探索試験や耐久試験では、入力加速度と供試品の加速度応答を比較し、どの振動数で応答が増幅しているかを確認します。

加速度応答は、試験条件の妥当性確認、供試品の共振確認、破損原因の調査、治具の剛性確認、制御点と監視点の違いの確認などに用いられます。大型の供試品や重心の高い供試品では、取付部と上部で応答が異なる場合があるため、測定位置の選定も重要です。

略語・記号:なし

別名・関連表記:応答加速度、応答波形、供試品応答、振動応答

関連用語:加速度、加速度ピックアップ、応答、共振、共振探索、伝達関数、制御点、監視点、振動台、治具

加速度実効値 RMS Acceleration(かそくどじっこうち)

加速度実効値とは、時間的に変動する加速度の大きさを、実効的な値として表したものです。英語では RMS Acceleration と表されます。RMS は Root Mean Square の略で、日本語では「二乗平均平方根」と呼ばれます。

実効値とは、もともと交流電圧や交流電流の大きさを表すときに用いられる考え方です。交流の値は時間とともに変化するため、瞬間値だけでは全体の大きさを表しにくい場合があります。そのため、瞬間値を二乗し、その平均値の平方根を取ることで、変動する量の大きさを実効的に表します。交流では、同じ熱効果を発揮する直流の大きさとして説明されます。

振動試験でも同様に、ランダム振動のように加速度が時間とともに不規則に変化する場合、瞬間的な最大値だけでは振動の大きさを評価しにくいことがあります。そのため、一定時間または一定の振動数範囲に含まれる加速度成分を実効値として表し、試験条件や装置能力の確認に用います。

単位は、国際単位系(SI)の m/s² を基本に使用します。なお、振動試験や衝撃試験の実務では、重力加速度を基準にした G を補助的に併用することがあります。

加速度実効値は、PSD(Power Spectral Density:パワースペクトル密度)と関係があり、ランダム振動の強さを示す指標として使用されます。試験条件を確認する際は、加振力、振動数、加速度、速度、変位の条件とあわせて、供試品や治具に過大な負荷がかからないか、振動試験装置の能力範囲内で試験できるかを確認します。

略語・記号:m/s2rms、Grms、RMS

別名・関連表記:実効加速度、加速度RMS、root mean square acceleration、二乗平均平方根

関連用語:加速度、ランダム振動、PSD、Grms、実効値、振動試験、振動制御装置

加速度波形 Acceleration Waveform(かそくどはけい)

加速度波形とは、時間の経過に対して加速度がどのように変化するかを表した波形です。英語では Acceleration Waveform と表されます。

一般的には、物体の動きや衝撃、振動などを時間軸で記録したとき、加速度がどのように増減したかを示すものです。地震動、自動車の衝突、機械の振動、落下衝撃など、時間とともに変化する運動の強さを確認するために用いられます。

振動試験では、加速度波形は、振動台や供試品に与えられる加速度の時間変化を示します。サイン波振動では規則的な正弦波形、ランダム振動では不規則な波形、衝撃試験では正弦半波、のこぎり波、台形波などの衝撃波形として扱われます。

加速度波形を確認することで、設定した試験条件どおりに加振できているか、過大なピークが発生していないか、波形の乱れや供試品・治具の共振がないかを確認できます。特に衝撃試験では、最大加速度、衝撃パルス作用時間、波形形状、トレランス範囲などが重要になります。

振動制御では、加速度ピックアップで測定した信号をもとに、振動制御装置が目標波形に近づくように制御します。そのため、加速度波形は、試験条件の確認だけでなく、制御状態や供試品応答を判断するための基本情報となります。

略語・記号:なし

別名・関連表記:加速度時刻歴波形、加速度時間波形、衝撃波形、時刻歴波形

関連用語:加速度、加速度ピックアップ、振動制御装置、サイン波振動、ランダム振動、衝撃波形、正弦半波衝撃パルス、加速度応答

加速度パワースペクトル密度 Power Spectral Density / Acceleration Power Spectral Density(かそくどぱわーすぺくとるみつど)

加速度パワースペクトル密度とは、ランダム振動に含まれる加速度成分の強さを、振動数分布として表したものです。どの振動数帯に、どのくらいの振動強度が含まれているかを確認するために用います。一般に PSD(Power Spectral Density:パワースペクトル密度)と呼ばれ、加速度を対象とする場合は ASD(Acceleration Spectral Density:加速度スペクトル密度)と呼ばれることもあります。

ランダム振動試験では、サイン波試験のように特定の振動数だけで加振するのではなく、複数の振動数成分を同時に含む不規則な振動を供試品に与えます。そのため、単一の加速度値だけでは、どの振動数帯にどの程度の振動エネルギーが含まれているかを表しにくくなります。加速度パワースペクトル密度は、このランダム振動の強さを振動数ごとに示すための指標です。

単位は、国際単位系(SI)の考え方では (m/s²)²/Hz を基本とします。ただし、振動試験の実務では、加速度に G を用いた G²/Hz または g²/Hz が補助的に使われることがあります。特に米国系の試験規格や航空宇宙・防衛関連の仕様では、重力加速度の表記が指定される場合があります。

ランダム振動試験では、PSDの形状によって、どの振動数帯を強く加振するかが決まります。例えば、低い振動数帯を重視する条件、中間の振動数帯を一定レベルで加振する条件、高い振動数帯で減衰させる条件などがあります。

PSD条件をもとに、一定の振動数範囲に含まれる加速度成分を積分すると、加速度実効値の二乗に相当します。その平方根を取ることで、加速度実効値を求めることができます。この加速度実効値は、m/s²rmsまたはGrmsとして表記されることがあります。

振動試験装置の選定や試験条件の確認では、PSD条件から求めた加速度実効値、供試品や治具の質量、試験する振動数範囲などをもとに、加振力、振動数、加速度、速度、変位の条件が装置能力の範囲内にあるかを確認します。PSDのレベルが高い場合や、広い振動数範囲で試験する場合は、必要な加振力や装置能力が大きくなることがあります。

そのため、加速度パワースペクトル密度は、ランダム振動試験において、試験条件の厳しさ、供試品に与える振動エネルギー、装置能力の確認に関わる重要な指標です。

略語・記号:PSD、ASD、(m/s²)²/Hz、G²/Hz

別名・関連表記:PSD、Power Spectral Density、ASD、Acceleration Spectral Density、加速度PSD、加速度スペクトル密度、パワースペクトル密度

関連用語:ランダム振動、PSD、ASD、加速度実効値、Grms、振動数、振動制御装置

加速度ピックアップ Accelerometer / Acceleration Pickup(かそくどぴっくあっぷ)

加速度ピックアップとは、供試品、治具、振動台などに発生する振動加速度を検出するセンサです。振動制御では、制御点に取り付けた加速度ピックアップの信号をもとに、振動試験装置の出力を調整します。また、計測点に取り付けることで、供試品や治具の応答、共振、過大入力の有無を確認できます。

エミックでは、振動試験や振動計測に圧電式加速度ピックアップを使用します。圧電式加速度ピックアップは、振動や衝撃によって圧電素子に加わる力を電荷として発生させ、その電荷を電気信号として取り出すセンサです。小型・軽量、高感度、広帯域という特長があり、微小な振動から大きな加速度まで対応しやすく、振動試験・衝撃試験装置の制御や、高精度な振動計測に使用されます。

一方で、加速度ピックアップは取付方法、取付位置、ケーブル処理、ピックアップ自体の質量、測定範囲、使用温度範囲などによって測定結果が変わる場合があります。特に、取付が不十分な場合やケーブルが振動する場合は、正しい加速度を測定できないことがあります。また、低い振動数の測定や長時間のゆっくりした変化の測定には、センサ方式や測定条件の確認が必要です。

そのため、試験目的に応じて、制御点・計測点の位置、ピックアップの仕様、取付方法、校正状態を確認し、適切に使用することが重要です。

略語・記号:なし

別名・関連表記:加速度センサ、振動センサ、ピックアップ

関連用語:チャージアンプ、プリチャージアンプ、振動計測器、加速度、制御点、計測点、振動制御装置、圧電式加速度ピックアップ

過渡振動 Transient Vibration(かとしんどう)

過渡振動とは、外部から力、衝撃、急な変位、起動・停止などが加わった直後に、一時的に発生する振動です。英語では Transient Vibration と表されます。

過渡振動は、一定の状態で継続する定常振動とは異なり、時間とともに振幅や波形が変化します。例えば、機械の起動・停止時、供試品に衝撃が加わった直後、外力が急に変化した場合などに発生します。

振動試験や衝撃試験では、入力された衝撃や急激な加振条件の変化に対して、供試品や治具がどのように応答するかを確認する際に、過渡振動が関係します。過渡振動には、供試品の固有振動数、減衰、取付状態、治具の剛性、加振方向などが影響します。

過渡振動が大きい場合、瞬間的な応力の増加、部品の接触、緩み、異音、破損などにつながることがあります。そのため、衝撃試験、落下衝撃試験、起動・停止時の評価、実波形再現試験などでは、過渡的な応答を確認することが重要です。

なお、入力に対する一時的な反応を表す場合は「過渡応答」と呼ばれることがあります。振動として現れる現象を説明する場合は「過渡振動」、入力に対する反応全体を説明する場合は「過渡応答」と整理すると分かりやすくなります。

詳細は「応答」「衝撃試験」「衝撃波形」「落下衝撃試験」「共振」「減衰」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:過渡的振動、非定常振動、過渡応答

関連用語:応答、衝撃試験、衝撃波形、落下衝撃試験、共振、減衰、加速度応答

可動コイル Armature Coil(かどうこいる)

可動コイルとは、動電式振動発生機の心臓部ともいえる 可動部 を構成する重要な部品で、電磁力によって加振力を発生させるコイルです。英語表記は Armature Coil です。

動電式振動発生機では、可動コイルに電流を流すことで力が発生し、その力によって可動部が動きます。この可動部の動きが、振動台、治具、供試品へ伝わることで、振動試験に必要な振動現象が生み出されます。つまり可動コイルは、振動試験装置の中で 電気信号を機械的な振動に変換する源 といえる部品です。

身近な例でいえば、可動コイルはスピーカーの ボイスコイル に相当します。スピーカーでは、ボイスコイルに音声信号の電流が流れることで振動板が動き、音が発生します。これと同じように、動電式振動発生機では、可動コイルに試験条件に応じた電流を流すことで可動部が動き、供試品に振動を与えます。

振動制御装置からの指令信号は、電力増幅器によって増幅され、可動コイルへ電流として供給されます。その電流の大きさや変化に応じて発生する力も変化し、正弦波振動、ランダム振動、衝撃波形など、試験条件に応じた振動を発生させます。

可動コイルは、振動発生機単体の可動部を構成するコイル部分です。振動発生機における Armature は、可動コイルを含む可動部を指します。一方、Armature Coil は、その可動部を駆動するコイル部分を指します。そのため、本用語集では 可動部=Armature、可動コイル=Armature Coil として区別します。

可動コイルには、装置の仕様や出力に応じて、空冷式 と 水冷式 があります。空冷式はブロワなどによる冷却風で可動コイルを冷却する方式で、水冷式は冷却水を用いて発熱を抑える方式です。大きな加振力を必要とする試験や長時間の連続運転では、可動コイルの発熱と冷却性能が重要になります。

また、可動コイルの構造には、シングルコイル と ダブルコイル があります。シングルコイルは1つの可動コイルで可動部を駆動する構造、ダブルコイルは複数のコイル構成により加振力や駆動特性を高める構造です。装置の加振力、応答性、冷却方式、可動部構造などに応じて採用されます。

可動コイルは単独で振動を発生させる部品ではなく、可動部、磁気回路、サスペンション、電力増幅器、振動制御装置などと組み合わさって機能します。磁気回路によって形成された磁界の中で可動コイルに電流が流れることで力が発生し、その力が可動部を駆動します。磁気回路は、励磁コイルや永久磁石などによって構成される場合があります。

海外メーカーや技術資料では、可動コイルを Moving Coil、Voice Coil、Drive Coil などと表現する場合もありますが、当社では Armature Coil と表記します。

詳細は 「可動部」「可動部質量」「動電式振動発生機」「動電式振動試験装置」「電力増幅器」「加振力」「磁気回路」 を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:可動部コイル、駆動コイルブ

関連用語:可動部、振動発生機

可動部 Armature(かどうぶ)

可動部とは、動電式振動発生機において、電磁力によって実際に動く部分を指します。英語表記は Armature です。

動電式振動発生機では、可動部に組み込まれた可動コイルに電流を流すことで力が発生し、その力によって可動部が往復運動します。この運動が、振動台、治具、供試品へ伝わることで、振動試験に必要な振動が発生します。つまり可動部は、可動コイルで発生した力を、試験対象へ機械的な振動として伝える中心的な構造です。

可動部は、振動発生機単体で見ると、可動コイル、供試品取付部、支持・案内機構に接続される構造部などを含む、加振機側の動く部分です。可動コイルが電磁力によって力を発生させる部品であるのに対し、可動部はその力によって実際に動き、供試品や治具へ振動を伝える構造全体を指します。

振動試験装置の仕様では、可動部の質量が 可動部質量 として示されます。可動部質量は、振動発生機単体の可動部に関する質量です。一方、実際の試験条件を確認する際には、可動部質量だけでなく、供試品、治具、取付ボルト、センサ、ケーブル保持具、垂直補助テーブル、水平テーブル、ジョイントなど、試験時に一緒に動く質量、すなわち総質量を確認する必要があります。

可動部は、加振力、加速度、速度、変位、振動数範囲、横方向運動、剛性、共振など、振動試験装置の性能に深く関係します。可動部の剛性や質量、取付面の構造、治具との接続状態は、試験時の伝達率や加速度応答に影響する場合があります。

なお、可動部=Armature、可動コイル=Armature Coil として区別します。可動コイルは可動部を駆動するコイル部分であり、可動部はそのコイルを含み、振動を供試品へ伝える動く構造全体を指します。可動部の質量や試験時に一緒に動く総質量については、「可動部質量」 を参照してください。

詳細は 「可動コイル」「可動部質量」「動電式振動発生機」「動電式振動試験装置」「加振力」「搭載質量」「治具」 を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:アーマチュア、可動コイル部、アマチャ、アマチャー

関連用語:可動部質量、加振力、振動発生機

可動部質量 Armature Mass(かどうぶしつりょう)

可動部質量とは、振動発生機単体において、加振時に動く可動部の質量を表す用語です。英語では Armature Mass、または Moving Element Mass と表すことができます。

動電式振動発生機では、可動コイルを含む可動部が電磁力によって駆動されます。この可動部が動くことで、振動台、治具、供試品へ振動が伝わります。可動部質量は、振動発生機が加速しなければならない基本的な質量であり、加振力、加速度、振動数、速度、変位などの装置能力を確認するうえで重要な仕様項目です。

JIS B 7758で定義される 可動部実効質量 は、加振力を定義するために使用する質量です。これは振動発生機単体における可動部構造の質量を基本とし、懸架機構の一部、接続具、コイル導体内の冷却液、リードの一部などを含みます。

ただし、実際の振動試験では、振動発生機単体の可動部質量だけで試験可否を判断することはできません。試験条件を確認する際には、可動部質量に加えて、治具、取付ボルト、センサ、ケーブル保持具、さらに供試品など、試験時に一緒に動く質量を含める必要があります。

垂直加振では、可動部、供試品、治具、垂直補助テーブル、アダプタープレート、取付ボルトなどの質量が関係します。水平加振では、これに加えて、水平テーブル、ジョイントなどの質量が関係します。

可動部質量は、振動発生機単体の可動部に関する質量です。一方、試験条件を確認する際には、供試品や治具類を含む、試験時に一緒に動く質量、すなわち総質量を確認する必要があります。

総質量が大きくなるほど、同じ加速度を発生させるために必要な加振力は大きくなります。そのため、振動試験装置を選定する際や試験条件を確認する際は、可動部質量、搭載質量、治具質量、加速度条件、振動数範囲、速度、変位などを総合的に確認することが重要です。

なお、可動部を駆動するコイル部分については 「可動コイル」、供試品や治具など装置に載せる質量については 「搭載質量」 を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:可動部実効質量、アーマチュア質量、可動質量

関連用語:加振力、供試品質量、治具質量

環境 Environment(かんきょう)

環境とは、製品、部品、装置、材料などが置かれる周囲の条件や、その対象に影響を与える外部要因を指します。英語では Environment と表されます。

一般的には、温度、湿度、気圧、振動、衝撃、塩水、粉じん、雨水、日射、電磁ノイズ、設置場所、使用条件、輸送条件、保管条件などが環境に含まれます。製品は、実際の使用中だけでなく、輸送中、保管中、据付時、起動・停止時などにもさまざまな環境の影響を受けます。

当社の製品・サービスにおける「環境」は、主に製品や部品が実際に受ける外部条件を試験装置で再現し、耐久性や信頼性を確認するための条件として扱います。代表的には、振動、衝撃、温度、湿度を中心とした環境が対象になります。

例えば、振動試験では、輸送中、車両走行中、機械稼働中などに発生する振動環境を再現します。衝撃試験では、落下、衝突、急停止、荷扱いなどで発生する衝撃環境を評価します。温(湿)度試験では、高温、低温、高湿度、温度変化などの環境を再現し、供試品への影響を確認します。

当社では、これらの環境を単独で評価するだけでなく、振動と温度、振動と湿度、温度変化と振動などを組み合わせた複合環境試験として扱う場合もあります。実使用環境に近い条件を再現することで、単独の試験では見つかりにくい不具合や弱点を確認できる場合があります。

なお、「環境」は非常に広い意味を持つ用語です。振動や衝撃に関する条件は「振動試験」「衝撃試験」、温度や湿度に関する条件は「温(湿)度試験槽」「高温試験」「高温高湿試験」、複数の条件を組み合わせる場合は「複合環境試験」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:使用環境、輸送環境、保管環境、試験環境、環境条件

関連用語:環境試験、複合環境試験、振動試験、衝撃試験、ランダム振動試験、落下衝撃試験、高温試験、高温高湿試験、温(湿)度試験槽、温(湿)度試験室、温度サイクル試験、輸送試験、信頼性試験

環境試験装置 Environmental Test System(かんきょうしけんそうち)

環境試験装置とは、温度、湿度、振動、衝撃など、製品や部品が使用環境で受ける環境負荷を再現し、耐久性・信頼性を評価するための試験装置です。振動試験の分野では、振動試験装置と温(湿)度試験槽を組み合わせ、振動負荷、温度負荷、湿度負荷を同時または連動して与える複合環境試験装置として使用される場合があります。対象製品の使用環境、輸送環境、設置環境を想定し、単独条件では確認しにくい不具合要因の把握に役立ちます。

略語・記号:なし

別名・関連表記:環境試験機、環境試験槽、チャンバー

関連用語:温湿度試験槽、複合環境試験装置

監視点 Monitoring Point(かんしてん)

試験中の供試品や治具の応答を確認するために設ける測定点です。

略語・記号:なし

別名・関連表記:モニタ点、監視チャンネル、測定点

関連用語:制御点、加速度ピックアップ、振動計測

ガル gal(がる)

ガルとは、加速度を表す単位の一つです。英語では gal と表記されます。1 gal は 1 cm/s² に相当します。

一般的には、地震や地盤の揺れを表す分野で使われることが多い単位です。地震計で観測される地震動の最大加速度を示す場合などに用いられます。なお、SI単位系では加速度の単位として m/s² が使われます。

gal を m/s² に換算する場合は、gal の値に 0.01 をかけます。言い換えると、gal の値の 1/100 が m/s² です。例えば、100 gal は 1 m/s²、500 gal は 5 m/s²、980 gal は約 9.8 m/s² です。

また、標準重力加速度を 9.80665 m/s² とすると、1 G は約 980 gal に相当します。簡易的には、gal の値の約 1/1000 が G と考えると分かりやすく、1000 gal は約 1 G、500 gal は約 0.5 G、2000 gal は約 2 G となります。正確に換算する場合は、G = gal ÷ 980.665 を用います。

振動試験では、加速度の単位として m/s² または G が使われることが多く、ガルは主に地震動や耐震試験の説明で出てくる単位です。例えば、地震波再現試験や耐震試験で、実地震波の最大加速度を確認する場合に、gal 表記のデータを扱うことがあります。

耐震試験では、gal の値だけで試験条件が決まるわけではありません。同じ最大加速度であっても、地震波の振動数成分、継続時間、速度、変位、入力方向によって、供試品に与える影響は変わります。そのため、地震波再現試験では、最大加速度だけでなく、速度、変位、時刻歴波形、応答スペクトルなどもあわせて確認します。

略語・記号:gal

別名・関連表記:Gal、cm/s²、地震加速度、地震動加速度

関連用語:加速度、G、m/s²、地震動、地震波再現試験、耐震試験、最大加速度、時刻歴波形、応答スペクトル

機械インピーダンス Mechanical Impedance(きかいいんぴーだんす)

機械インピーダンスとは、機械系に加えた力に対して、対象物がどの程度動きにくいかを表す量です。英語では Mechanical Impedance と表されます。

一般的には、入力した力と、その点で生じる速度応答の関係として扱われます。構造物が硬い、重い、または減衰が大きい場合、同じ力を加えても動き方が変わります。機械インピーダンスは、質量、剛性、減衰、振動数によって変化します。

当社製品に関連する振動試験では、振動発生機、治具、供試品、加振点の関係を考える際に機械インピーダンスの考え方が関係します。供試品や治具の機械インピーダンスが大きい場合、必要な加振力が増えたり、目標とする加速度や波形を再現しにくくなる場合があります。

伝達関数、伝達率、加速度応答と近い場面で使われますが、機械インピーダンスは特に力と運動の関係に着目する用語です。詳細は「加振力」「伝達関数」「伝達率」「加速度応答」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:機械的インピーダンス

関連用語:加振力、伝達関数、伝達率、加速度応答、振動発生機、治具

供試品 Test Specimen / Device Under Test(きょうしひん)

供試品とは、振動試験、衝撃試験、環境試験などで評価対象となる製品、部品、材料、ユニットなどを指します。試験対象、試料、サンプル、DUT(Device Under Test)、ワークなどと呼ばれることもあります。

振動試験では、供試品に対して所定の振動負荷を与え、耐久性、信頼性、共振、機能異常、部品の緩みや破損などを確認します。供試品の質量、寸法、重心位置、取付方法、剛性、動作状態、発熱の有無などは、試験条件や治具設計、装置選定に影響します。

特に、供試品と治具の合計質量は、必要な加振力を判断するうえで重要です。また、供試品の重心が加振中心からずれる場合は、偏心モーメントが発生するため、許容偏心モーメントの確認が必要になる場合があります。

供試品を振動試験装置に取り付ける際は、実際の使用状態や取付姿勢をできるだけ考慮し、試験目的に合った治具を使用します。取付剛性が不足している場合や、治具・供試品の共振が試験範囲内にある場合は、正しい試験結果が得られないことがあります。

複合環境試験では、供試品に振動負荷だけでなく、温度負荷、湿度負荷などを同時または連動して与える場合があります。そのため、供試品の材質、熱容量、発熱、通電状態、動作確認の有無なども、試験条件を検討するうえで重要な要素になります。

略語・記号:DUT

別名・関連表記:試験対象、試料、サンプル、DUT(Device Under Test)、ワーク

関連用語:治具、搭載質量、振動試験

共振 Resonance(きょうしん)

共振とは、外部から加えられる振動の振動数が、物体や構造物がもつ固有振動数に近づいたとき、振動の応答が大きくなる現象です。英語では Resonance と表されます。

一般的に、物体や構造物には、それぞれ揺れやすい振動数があります。この振動数に近い周期的な力や振動が加わると、入力が比較的小さくても応答が大きくなる場合があります。この現象が共振です。

振動試験では、供試品、治具、振動台、垂直補助テーブル、水平加振台などで共振が発生する場合があります。共振が発生すると、特定の振動数で加速度応答が大きくなり、部品の破損、ねじの緩み、接触、異音、疲労、治具の変形などにつながることがあります。

当社製品に関連する振動試験では、共振は試験条件の確認や供試品評価において重要な現象です。正弦波振動掃引試験では、振動数を変化させながら供試品の応答を確認し、共振点を探索します。また、共振耐久試験では、確認した共振点付近で一定時間加振し、供試品の耐久性を評価する場合があります。

共振は、供試品だけでなく治具や取付状態にも影響を受けます。治具の剛性が不足している場合や、取付が不十分な場合、供試品本来の応答とは異なる共振が現れることがあります。そのため、試験結果を判断する際は、供試品、治具、加振方向、測定点、伝達率、伝達関数などをあわせて確認することが重要です。

なお、共振が発生する振動数については「共振振動数」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:レゾナンス、共振現象

関連用語:共振振動数、固有振動数、正弦波振動掃引試験、共振探索、共振耐久、加速度応答、伝達率、伝達関数、治具、加振方向、反共振

共振振動数 Resonance Frequency(きょうしんしんどうすう)

共振振動数とは、共振が発生し、物体や構造物の応答が大きくなる振動数です。英語では Resonance Frequency と表されます。

一般的に、物体や構造物は、特定の振動数で揺れやすい性質を持っています。外部から加えられる振動の振動数がその値に近づくと、応答が大きくなります。このときの振動数を共振振動数と呼びます。

振動試験では、正弦波振動掃引試験や共振探索により、供試品や治具の共振振動数を確認する場合があります。共振振動数を把握することで、どの振動数帯で供試品の応答が大きくなるか、どの条件で破損や異音が発生しやすいかを確認できます。

当社製品に関連する振動試験では、共振振動数は、試験条件の設定、供試品の評価、治具設計、耐久試験条件の検討に関係します。特に、共振点付近で長時間加振する試験では、供試品に大きな負荷が加わるため、加速度応答、測定点、制御点、治具剛性などを確認する必要があります。

なお、共振振動数は、供試品の質量、剛性、形状、取付状態、治具、温度条件などによって変化する場合があります。共振現象そのものの説明は「共振」、物体がもともと持つ振動特性としての振動数は「固有振動数」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:共振周波数、共振点、レゾナンス周波数

関連用語:共振、固有振動数、共振探索、共振耐久、正弦波振動掃引試験、加速度応答、伝達関数、伝達率、反共振振動数、治具

共振耐久試験 Resonance Dwell Test(きょうしんたいきゅうしけん)

共振耐久試験とは、共振探索などで確認した共振点付近で供試品を一定時間加振し、耐久性や機能への影響を確認する試験です。共振点では、入力した振動に対して供試品や構造物の応答が大きくなるため、通常の加振条件では発生しにくい不具合を確認できる場合があります。

振動試験では、供試品が実使用環境や輸送環境で特定の振動数成分を受け続ける場合を想定し、共振点での耐久性を確認することがあります。共振耐久試験では、ねじの緩み、部品の破損、はんだ接合部の劣化、配線やコネクタの接触不良、異音、機能異常などを確認します。

共振耐久試験を行う際は、共振探索で確認した共振振動数、応答倍率、計測点の位置、供試品の取付状態、治具剛性などを確認したうえで、加振条件を設定します。試験中に供試品の共振振動数が変化する場合は、損傷や取付状態の変化が発生している可能性があるため、試験前後の共振確認が重要になります。

エミックの振動制御装置・振動コントローラでは、共振耐久試験を行うために、変化する共振振動数に追従しながら加振するソフトウェア機能を使用する場合があります。これにより、試験中に共振点が移動した場合でも、共振状態を維持しながら耐久性を評価できます。

また、共振点での加振は供試品に大きな負荷を与えるため、試験目的に応じて加速度レベル、試験時間、停止条件、機能確認のタイミングを適切に設定する必要があります。

略語・記号:なし

別名・関連表記:共振点追従試験、共振点追随試験、共振点保持試験、Resonance Dwell、Sine Dwell Test、SRTD、RSTD

関連用語:共振、共振探索、耐久試験

共振探索 Resonance Search(きょうしんたんさく)

共振探索とは、供試品や治具に振動を与えながら振動数を変化させ、応答が大きくなる振動数を確認する試験手順です。サイン波掃引試験などを用いて、共振点や共振振動数を把握するために行います。

振動試験では、供試品がどの振動数で大きく応答するかを確認することが重要です。共振探索によって、供試品、取付部、治具、内部部品などの共振点を確認し、試験条件の設定、耐久試験の条件決定、治具や固定方法の見直し、設計改善の判断に役立てます。

共振探索では、加振力、振動数、加速度、速度、変位の条件を確認しながら、供試品や治具に過大な応答が発生していないかを計測点で確認します。応答が大きい箇所では、ねじの緩み、き裂、破損、異音、接触不良、機能異常などの原因になる場合があります。

エミックの振動制御装置・振動コントローラでは、共振点探索を行うために、振動数を掃引しながら応答を確認するソフトウェア機能を使用します。これにより、供試品や治具の共振振動数を把握し、共振耐久試験や振動条件の検討に活用できます。

共振探索の結果は、共振耐久試験やランダム振動試験の条件検討にも利用されます。試験目的によっては、共振点で一定時間加振して耐久性を確認する場合もあれば、過大な応答を避けるために取付方法や治具剛性を見直す場合もあります。

略語・記号:なし

別名・関連表記:共振点探索、共振周波数探索、共振確認

関連用語:共振、共振振動数、掃引、正弦波振動試験

許容偏心モーメント Allowable Offset Load(きょようへんしんもーめんと)

許容偏心モーメントは、振動発生機の加振中心から離れた位置に供試品を取り付けたときに、振動発生機が許容できるモーメントの上限値です。一般に N·m(ニュートンメートル) で表します。

供試品の重心が加振中心からずれていると、振動によって発生する慣性力が偏心距離を介して可動部に作用し、振動発生機を傾けようとするモーメントが発生します。このモーメントは、供試品の質量、試験加速度、加振中心から重心までの距離が大きくなるほど増加します。

許容偏心モーメントを超える条件で試験すると、可動部の支持機構や軸受などに過大な負荷がかかり、横振動の増加、波形の乱れ、装置の損傷などにつながる可能性があります。そのため、供試品や治具を取り付ける際は、総質量だけでなく、重心位置と試験加速度を考慮し、発生する偏心モーメントが装置の許容値以内に収まることを確認する必要があります。

当社では、偏心して取り付けられた供試品によって振動発生機に作用するモーメントの許容値を Allowable Offset Load と表記しています。他には Allowable Eccentric Moment、Maximum Overturning Moment などの表記も使用されています。

略語・記号:なし

別名・関連表記:偏心モーメント、許容モーメント、許容偏荷重モーメント、オーバーターニングモーメント

関連用語:供試品、治具、重心位置、加振中心、水平加振台、可動部、加振力、試験方向

逆のこぎり波衝撃パルス Initial Peak Sawtooth Shock Pulse(ぎゃくのこぎりはしょうげきぱるす)

逆のこぎり波衝撃パルス(Initial Peak Sawtooth Shock Pulse)とは、瞬時に最大値に達し、その後、直線的に減衰してゼロとなる時刻歴を持つ理想衝撃パルスです。逆のこぎり波、初期ピークのこぎり波と呼ばれることもあります。

逆のこぎり波衝撃パルスは、開始直後に大きな加速度を与え、その後、時間とともに直線的にゼロへ近づく波形として説明されます。急な立ち上がりを含むため、実際の試験では装置の振動数範囲、加振力、速度、変位、治具剛性などが波形再現性に影響します。

逆のこぎり波衝撃パルスは、理想化された波形形状です。実際の試験では、完全な瞬時立ち上がりを再現するのではなく、実測される衝撃応答波形が、規定されたトレランス範囲内に収まるように制御します。

詳しくは「理想衝撃パルス」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:逆のこぎり波、初期ピークのこぎり波、Initial Peak Sawtooth Pulse

関連用語:理想衝撃パルス、のこぎり波衝撃パルス、衝撃試験、最大加速度、衝撃パルス作用時間

空間温度/湿度偏差 Spatial Temperature/Humidity Deviation(くうかんおんどしつどへんさ)

空間温度/湿度偏差とは、温(湿)度試験槽や温(湿)度試験室の有効空間内において、場所によって生じる温度または湿度の差を表す用語です。英語では Spatial Temperature/Humidity Deviation と表すことができます。温(湿)度試験槽や温(湿)度試験室では、設定温度や設定湿度が同じであっても、槽内の位置によって温度や湿度が完全に同一になるとは限りません。吹き出し口、吸い込み口、壁面付近、棚板、供試品の配置、供試品の発熱などの影響により、有効空間内で温度や湿度に差が生じる場合があります。

空間温度/湿度偏差は、供試品が有効空間内で規定された条件を受けているかを確認するうえで重要です。特に、複数の供試品を同時に試験する場合や、大型供試品を試験する場合には、供試品の位置によって温度・湿度条件に差が出ていないかを確認する必要があります。

なお、空間温度/湿度偏差は、温度/湿度勾配と近い意味で扱われる場合があります。用語集では、場所による温度・湿度差を表す関連用語として整理し、詳細は「温度/湿度勾配」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:空間温度偏差、空間湿度偏差、温度分布、湿度分布、温度/湿度勾配

関連用語:温度/湿度勾配、温度/湿度変動、温度/湿度安定状態、有効空間、温(湿)度試験槽、温(湿)度試験室、設定温度、相対湿度、供試品、測定点

空気ばね Air Spring(くうきばね)

空気ばねとは、圧縮空気の弾性を利用して荷重を支え、振動や衝撃の伝達を低減するためのばね要素です。英語では Air Spring と表されます。

一般的なばねが金属の弾性を利用するのに対し、空気ばねは内部に封入した空気の圧縮・膨張によって荷重を支えます。空気圧を調整することで、支持する荷重や高さを調整できるため、自動車、鉄道車両、産業機械、防振台、精密機器の支持装置などに使用されます。

空気ばねは、振動を伝わりにくくする防振用途に適しています。床や基礎から伝わる振動を低減したり、装置から周囲へ伝わる振動を抑えたりする目的で使われます。一方で、空気ばね自体にも固有振動数があるため、対象とする振動数範囲や装置の質量、設置条件に合わせて選定する必要があります。

動電式振動試験装置では、空気ばねは主に防振機構として使用されます。振動発生機や水平加振台の運転時に発生する振動が、設置床や周辺設備へ伝わることを抑えるため、装置本体と床の間に空気ばねを設ける場合があります。

振動試験装置は、供試品に意図した振動を与える装置である一方、装置自身も大きな反力や振動を発生します。空気ばねを用いることで、その振動が建屋、床、周辺設備、計測機器へ伝わることを低減し、設置環境への影響を抑えることができます。

また、空気ばねは装置の水平保持や高さ調整にも関係します。供試品や治具の質量が変わると装置にかかる荷重も変わるため、空気圧を調整して装置の姿勢や支持状態を保つ場合があります。大型の振動試験装置や水平加振台では、設置床の剛性、供試品の質量、加振条件、周辺設備への振動影響を含めて、空気ばねの仕様を確認することが重要です。

ただし、空気ばねはすべての振動を完全に遮断するものではありません。低い振動数域では空気ばねを含む支持系の揺れが問題になる場合があり、加振条件や供試品の質量によっては、装置全体の挙動に影響する可能性があります。そのため、振動試験装置における空気ばねは、防振効果だけでなく、装置の安定性、設置条件、メンテナンス性を含めて確認する必要があります。

当社では、振動試験装置の防振・支持に関係する構成要素として、空気ばねを扱います。「エアスプリング」「空気バネ」と表記される場合もありますが、専門用語集では「空気ばね」を標準表記とします。

略語・記号:なし

別名・関連表記:空気バネ、エアスプリング、エアばね、空気式ばね、防振空気ばね、エアサス

関連用語:防振機構、振動試験装置、動電式振動試験装置、振動発生機、水平加振台、反力、設置環境、固有振動数、防振ゴム、アイソレータ

矩形波衝撃パルス Rectangular Shock Pulse(くけいはしょうげきぱるす)

「矩形波衝撃パルス」という表現は、一般的に使われることもありますが、本用語集では標準用語を「方形波衝撃パルス」としています。そのため、「矩形波衝撃パルス」は別名・関連表記として扱います。

「矩形波」は技術分野で広く使われている言葉で、意味としては方形波とほぼ同じものとして理解されることが多いです。ただし、衝撃試験における理想衝撃パルスとして整理する際には、JIS B 0153の用語に合わせて「方形波衝撃パルス」と表記するのが適切です。

詳しくは「方形波衝撃パルス」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:方形波衝撃パルス、矩形波のパルス、矩形波、矩形パルス

関連用語:方形波衝撃パルス、矩形波のパルス、理想衝撃パルス、衝撃試験

矩形波のパルス Rectangular Shock Pulse(くけいはのぱるす)

矩形波のパルスは、当社既存ページなどで使用している表記です。専門用語集では、標準用語を「方形波衝撃パルス」とし、矩形波のパルスは別名・当社既存表記として扱います。

一般的には「矩形波」「矩形パルス」と呼ばれることもありますが、JIS B 0153の用語整理では、英語 Rectangular Shock Pulse に対応する日本語として方形波衝撃パルスが使用されます。

当社では、既存ページとの整合性や検索のしやすさを考慮し、「矩形波のパルス」「矩形波」「矩形波衝撃パルス」といった表記からも検索・参照できるようにしています。本文では、標準用語である「方形波衝撃パルス」をご案内しています。

略語・記号:なし

別名・関連表記:方形波衝撃パルス、矩形波、矩形波衝撃パルス、矩形パルス

関連用語:方形波衝撃パルス、理想衝撃パルス、衝撃試験、台形波衝撃パルス、三角波衝撃パルス

クロストーク Crosstalk(くろすとーく)

クロストークとは、本来影響しないはずの信号、方向、測定軸、制御軸に、別の信号や振動成分が混入する現象です。英語では Crosstalk と表されます。

一般的には、電気信号、通信、音響、計測、振動測定などの分野で使われます。例えば、ある信号線の信号が隣の信号線に混入したり、ある測定軸の成分が別の測定軸の信号として現れたりする場合があります。

当社製品に関連する振動試験では、クロストークは主に、加振軸方向以外の振動成分が測定値や供試品応答に混入する現象として問題になる場合があります。例えば、X方向に加振しているにもかかわらず、Y方向やZ方向の加速度成分が測定される場合があります。

このような加振軸方向以外の振動は、英語では transverse motion、transverse vibration、cross-axis motion、cross-axis vibration などと表現される場合があります。当社では、これらの軸外方向の振動成分や信号混入を含めて、クロストークとして扱います。

クロストークは、振動発生機の可動部、垂直補助テーブル、水平加振台、治具、供試品の取付状態、重心位置、共振、センサの横感度、センサの取付方向などによって発生する場合があります。特に、治具や供試品の剛性が不足している場合や、加振方向以外のモードが試験範囲内にある場合は、軸外方向の応答が大きくなることがあります。

また、クロストークには、機械的な軸間干渉だけでなく、加速度ピックアップや計測ケーブル、信号調整器、振動制御装置などの計測系で発生する信号混入も含まれます。センサの横感度、取付方向のずれ、ケーブルの誘導ノイズ、チャンネル間の信号混入などにより、実際の振動とは異なる測定値が表示される場合があります。

多軸振動試験や複数チャンネル制御では、1つの軸の入力が他の軸の応答に影響する場合があり、軸間干渉としてのクロストークを考慮する必要があります。さらに、供試品や治具のロッキング、ねじれ、回転成分によって、測定点ごとに異なる応答が発生することもあります。

クロストークを低減するためには、加振方向、治具剛性、供試品の重心、取付状態、センサの取付方向、制御点と監視点、ケーブル配線、測定チャンネルの状態を確認することが重要です。必要に応じて、三軸加速度ピックアップによる確認、空加振、治具単体での測定、複数点測定、伝達関数の確認などを行います。

詳細は「加振方向」「加速度ピックアップ」「加速度応答」「伝達関数」「伝達率」「多自由度系」「治具」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:transverse motion、transverse vibration、cross-axis motion、cross-axis vibration、parasitic motion、信号混入、軸間干渉、方向間干渉、横方向振動、軸外方向振動、横方向成分

関連用語:加振方向、加速度ピックアップ、加速度応答、伝達関数、伝達率、多自由度系、治具、共振、水平加振台、垂直補助テーブル

計測震度 Instrumental Seismic Intensity(けいそくしんど)

機器で得られた加速度波形から算出される震度です。加速度の大きさに加え、周期や継続時間も考慮されます。

略語・記号:なし

別名・関連表記:計測震度計、震度算出

関連用語:震度、加速度波形、周期、継続時間

減衰 Damping(げんすい)

減衰とは、振動している物体の振幅が時間とともに小さくなる現象、または振動エネルギーが失われる作用を指します。英語では Damping と表されます。

一般的には、摩擦、空気抵抗、材料内部の損失、粘性抵抗、接合部のすべりなどによって、振動エネルギーが熱などに変換され、振動が徐々に小さくなります。

当社製品に関連する振動試験や衝撃試験では、供試品、治具、防振機構、空気ばね、支持構造などの応答に減衰が関係します。減衰が小さいと共振時の応答が大きくなりやすく、減衰が大きいと振動が早く収束しやすくなります。

減衰の大きさを比率で表す場合は「減衰比」、速度に比例する減衰を扱う場合は「粘性減衰」、振動しない境界状態は「臨界減衰」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:振動減衰、エネルギー損失

関連用語:減衰比、粘性減衰、臨界減衰、共振、防振機構、過渡振動

減衰定数 Damping Constant / Damping Factor(げんすいていすう)

振動が時間とともに小さくなる性質を表す値です。応答スペクトルや耐震評価で使用されます。

略語・記号:なし

別名・関連表記:減衰係数、減衰比、ダンピング

関連用語:減衰、減衰比、応答スペクトル

減衰比 Damping Ratio(げんすいひ)

減衰比とは、実際の減衰の大きさを、臨界減衰に対する比として表した値です。英語では Damping Ratio と表され、記号は ζ が使われます。

一般的に、減衰比が小さいほど振動が長く続き、共振時の応答が大きくなりやすくなります。減衰比が大きいほど振動は早く収束します。

振動試験や振動解析では、供試品、治具、構造物の共振特性や過渡応答を評価する際に減衰比が使われます。応答スペクトルやモード解析でも、減衰比は重要な条件の一つです。

減衰全般の説明は「減衰」、臨界減衰との関係は「臨界減衰」を参照してください。

略語・記号:ζ

別名・関連表記:減衰係数比、ダンピング比

関連用語:減衰、臨界減衰、粘性減衰、1自由度系、共振、応答スペクトル

高温高湿試験 Damp Heat Test(こうおんこうしつしけん)

高温高湿試験とは、供試品を高温かつ高湿度の環境にさらし、性能、機能、外観、絶縁性、材料、接合部などへの影響を確認する試験です。英語では High Temperature and High Humidity Test または High Temperature and High Humidity Testing と表されます。

当社では、温(湿)度試験槽や温(湿)度試験室を用いて、所定の温度と湿度を設定し、一定時間保持します。対応する温度・湿度範囲は装置仕様や試験条件によって異なりますが、当社の標準的な温(湿)度試験槽では、目安として温度は−70℃程度から+180℃程度、湿度は30〜98%RH程度の範囲に対応します。

高温高湿試験としては、この範囲のうち、例えば +40℃〜+85℃程度の高温域と、高湿度条件を組み合わせて評価する場合があります。ただし、温度と湿度の組み合わせには装置仕様上の制約があるため、すべての温度範囲で任意の湿度条件を設定できるわけではありません。実際の試験条件は、供試品、規格、顧客仕様、試験目的に応じて確認します。

高温と湿度が同時に加わることで、吸湿、腐食、絶縁抵抗の低下、樹脂材料の劣化、金属部品の錆、接着部やはんだ接合部への影響などが発生する場合があります。

なお、「恒温恒湿試験」と近い意味で使われる場合がありますが、恒温恒湿試験は一定の温度・湿度条件を保持する試験全般を指すことが多く、高温高湿試験はその中でも高温・高湿度条件に着目した試験として整理します。詳細は「温(湿)度試験槽」「相対湿度」「温度/湿度安定状態」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:恒温恒湿試験、湿熱試験、耐湿試験

関連用語:温湿度試験槽、相対湿度、露点

恒温恒湿槽 Constant Temperature and Humidity Chamber(こうおんこうしつそう)

恒温恒湿槽とは、温度と湿度を一定条件、または設定した条件に制御し、製品や部品の耐環境性を評価するための試験槽です。英語では Constant Temperature and Humidity Chamber 、またはTemperature and Humidity Chamberと表します。

現在のJTM規格では、温度を制御する試験槽については JTM K 07「温度試験槽-性能試験方法及び性能表示方法」が、温度と湿度を制御する試験槽については JTM K 09「温湿度試験槽-性能試験方法及び性能表示方法」が定められています。従来の JTM K 01「恒温恒湿槽-性能試験方法及び性能表示方法」は、国際規格が制定されたことに伴い、JTM K 09「温湿度試験槽-性能試験方法及び性能表示方法」へ改められ、5年間の移行期間後に廃止されています。

この経緯を踏まえ、当社ではJTMおよびJISの表記に準拠し、恒温恒湿槽に相当する試験槽を「温(湿)度試験槽」と表記します。

温(湿)度試験槽は、単独で温度試験や湿度試験を行うだけでなく、振動試験装置と組み合わせることで、温度・湿度・振動を同時または連続的に与える複合環境試験にも使用されます。

なお、「恒温恒湿槽」という表記は、旧JTM規格である JTM K 01 の名称にも使用されていた表記であり、現在も一般的な試験機器名として使用されています。

詳しくは「温(湿)度試験槽」および「複合環境試験」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:温湿度試験槽、恒温槽、恒湿槽、チャンバー

関連用語:温湿度試験槽、湿度範囲、温度範囲

高温試験 Dry Heat Test / High Temperature Test(こうおんしけん)

高温試験とは、供試品を高温環境にさらし、性能、機能、外観、構造、材料などに異常が生じないかを確認する試験です。英語では High Temperature Test または High Temperature Testing と表されます。

当社では、温度試験槽や温(湿)度試験槽を用いて、供試品を所定の温度で一定時間保持し、高温環境に対する耐久性や信頼性を確認します。対応する温度範囲は装置仕様や試験条件によって異なりますが、当社の標準的な温度試験槽では、目安として室温+10℃程度から+180℃程度までの高温条件に対応します。仕様やオプションによっては、最大+200℃程度まで対応する場合があります。

電子機器、自動車部品、樹脂部品、電池部品、包装材料、産業機器などでは、保管中、輸送中、使用中に高温環境へさらされる可能性があります。そのため、高温条件下での動作確認、外観確認、寸法変化、材料劣化、変形、接着部やはんだ接合部の状態などを確認する目的で実施されます。

高温試験は、温度環境だけを対象とする試験です。湿度条件を加えて評価する場合は「高温高湿試験」、温度を周期的に変化させる場合は「温度サイクル試験」、急激な温度変化を与える場合は「温度衝撃試験」を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:耐熱試験、乾燥高温試験、熱試験

関連用語:温度試験槽、温度サイクル試験、低温試験

公称パルス形状 Nominal Pulse Shape(こうしょうぱるすけいじょう)

公称パルス形状(nominal pulse shape)とは、衝撃試験で基準として用いられる衝撃パルスの波形形状です。

衝撃試験では、供試品に短時間の加速度、速度、変位などの変化を与え、輸送、落下、衝突、取扱い時などに発生する衝撃への耐久性や機能への影響を確認します。

JIS C 60068-2-27:2011では、衝撃試験は、規定のピーク加速度及び作用時間の標準パルス波形の衝撃を供試品に加える試験として扱われています。また、同規格では、試験するパルス波形を規定し、附属書Aをパルス波形の選択及び適用の指針、附属書Bを各パルス波形の特性として示しています。表的な公称パルス形状には、正弦半波パルス(Half-sine pulse)、のこぎり波パルス(Sawtooth pulse)、台形波パルス(Trapezoidal pulse)などがあります。

公称パルス形状は、衝撃試験条件を定義するための基準波形です。一方、実際に計測される衝撃波形は、振動試験装置、電力増幅器、振動発生機、治具、供試品、制御点、センサ特性などを含む試験系全体の動特性の影響を受けます。そのため、実際の衝撃波形は、公称パルス形状と数学的・物理的に完全同一の波形として得られるものではありません。

衝撃試験では、公称パルス形状と完全に同一の波形を得ることではなく、計測された衝撃波形が規定された許容差範囲(トレランス)内に収まっていることを確認します。

当社資料では、従来、衝撃試験における基準波形を表す用語として、理想衝撃パルス(main shock pulse)を使用しています。また、正弦半波衝撃パルス、ハーフサイン波、Half-sine など、資料の種類によって表記が異なる場合があります。

詳しくは 「理想衝撃パルス」「衝撃波形」「正弦半波衝撃パルス」「のこぎり波衝撃パルス」「台形波衝撃パルス」 を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:公称パルス(nominal pulse)、標準パルス波形、衝撃パルス形状、理想衝撃パルス(main shock pulse)、正弦半波パルス(Half-sine pulse)、のこぎり波パルス(Sawtooth pulse)、台形波パルス(Trapezoidal pulse)

関連用語:理想衝撃パルス、衝撃試験、衝撃パルス、正弦半波パルス、正弦半波衝撃パルス、ハーフサイン波、のこぎり波パルス、台形波パルス、トレランス、ピーク加速度、作用時間、速度変化、振動制御装置

小型振動試験装置 Compact Vibration Testing System(こがたしんどうしけんそうち)

小型振動試験装置(Compact Vibration Testing System)とは、小型・軽量の供試品に振動負荷を与えるための振動試験装置です。

センサー、電子部品、電気機器、小型ユニットなどの耐振性確認のほか、振動計や加速度ピックアップの確認、機械インピーダンス測定、振動解析の加振源、振動工学の基礎実験などに使用されます。

大型の振動試験装置に比べて、搭載できる供試品の質量や寸法、発生できる加振力は小さくなります。一方で、比較的小さな供試品を対象とした試験や計測では、必要十分な加振力を確保しやすく、高い振動数範囲での加振、研究開発、評価、教育用途などに適しています。

小型振動試験装置で扱う高い振動数範囲は、装置仕様によって異なります。一般的な小型振動試験装置では、数kHzから10 kHz程度までを対象とするものがあり、仕様によっては20 kHz、24 kHz、30 kHz程度まで対応する高振動数型もあります。例えば、エミックの小型振動試験装置では、512-D型が30 kHzまで、513-D型が24 kHzまでの高周波加振に対応しています。

小型振動試験装置を使用する際は、供試品や治具の質量、取付方法、必要な加振力、振動数、加速度、速度、変位を確認し、装置能力の範囲内で試験条件が成立するかを判断します。特に、高振動数域では、供試品や治具の取付剛性、共振、加速度ピックアップの取付状態などが測定結果に影響する場合があります。

小型振動試験装置には、一般的な耐振試験に使用する構成のほか、高振動数域の試験、温(湿)度試験槽と組み合わせた複合環境試験、ロングストローク条件、モーダル解析用の加振源など、用途に応じた構成があります。エミックの製品情報でも、小型振動試験装置のカテゴリとして、513シリーズ、512シリーズ、511シリーズ、9514シリーズの各仕様が掲載されています。

詳しくは 「動電式振動試験装置」「小型振動発生機」「加振力」「振動数」「加速度」「治具」「モーダル解析」 を参照してください。

略語・記号:なし

別名・関連表記:小型振動発生機、Compact Vibration Generator、小型加振機、小型シェーカー、小型振動台

関連用語:振動試験装置、振動発生機、加振、加振力、振動数、加速度、速度、変位、供試品、治具、機械インピーダンス、モーダル解析

故障率 Failure Rate(こしょうりつ)

故障率とは、一定時間内に製品や部品が故障する割合、または単位時間あたりに故障が発生する確率を表す指標です。英語では Failure Rate と表されます。

一般的には、信頼性評価や品質管理で使用されます。電子部品、機械部品、装置、システムなどが、時間の経過とともにどの程度故障しやすいかを示します。故障率は、使用環境、温度、湿度、振動、衝撃、負荷条件、製造ばらつきなどの影響を受けます。

当社製品に関連する環境試験や信頼性試験では、振動、衝撃、温度、湿度などの環境条件を与え、故障の発生有無や故障モードを確認します。これらの試験は、故障率を直接算出するためだけでなく、製品の弱点や潜在不良を把握する目的でも行われます。

故障率の詳細な算出や寿命予測は信頼性工学の領域です。本用語集では、環境試験・振動試験・衝撃試験と関係する基礎用語として扱います。詳細は「信頼性試験」「HALT」「HASS」「故障モード」を参照してください。

略語・記号:λ

別名・関連表記:故障発生率、単位時間故障率

関連用語:信頼性試験、HALT、HASS、故障モード、環境試験、振動試験、衝撃試験

固有周期 Natural Period(こゆうしゅうき)

構造物や系が固有に持つ揺れの周期です。応答スペクトルでは固有周期ごとの最大応答を確認します。

略語・記号:なし

別名・関連表記:自然周期、固有振動周期

関連用語:固有振動数、応答スペクトル、減衰定数

固有振動数 Natural Frequency(こゆうしんどうすう)

固有振動数とは、供試品や構造物が持つ、振動しやすい固有の振動数です。部品、治具、構造物などには、それぞれ質量や剛性によって決まる振動しやすい振動数があり、その振動数付近で外部から振動を受けると、応答が大きくなる場合があります。

振動試験では、供試品の固有振動数を把握することが重要です。固有振動数付近で加振すると、供試品の一部に大きな加速度、速度、変位、応力が発生し、ねじの緩み、き裂、破損、異音、接触不良、機能異常などにつながる場合があります。

固有振動数は、供試品単体だけでなく、取付治具、固定方法、取付姿勢、加振方向、計測点の位置によって変化することがあります。そのため、振動試験では、実際の取付状態に近い条件で供試品を固定し、サイン波掃引試験などによって応答が大きくなる振動数を確認します。

なお、固有振動数と共振振動数は近い意味で使われることがありますが、厳密には、固有振動数は供試品や構造物が持つ性質、共振振動数は実際に加振したときに応答が大きくなる振動数として扱うと分かりやすくなります。

略語・記号:なし

別名・関連表記:固有周波数、ナチュラルフリークエンシー、自然振動数

関連用語:固有振動数, natural frequency