専門用語集
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ASD Acceleration Spectral Density(えーえすでぃー)
ASDとは、Acceleration Spectral Density の略で、加速度スペクトル密度を表す用語です。振動試験の分野では、ランダム振動試験において、振動数ごとの加速度成分の強さを表す量として使われます。
ASDは、一般に加速度パワースペクトル密度と同じ意味で扱われることが多く、単位には (m/s²)²/Hz や G²/Hz が使われます。特に振動試験装置や振動制御装置では、ランダム振動の試験条件を設定する際に、振動数ごとの加速度レベルを G²/Hz で指定することがあります。
ランダム振動では、サイン波振動のように特定の振動数だけで加振するのではなく、一定の振動数範囲にわたって不規則な振動を与えます。そのため、単純な加速度値だけでは振動の強さを表しにくく、振動数ごとの加速度成分を密度として表す ASD や PSD が用いられます。
PSDは Power Spectral Density の略で、信号のパワーが振動数ごとにどのように分布しているかを表す一般的な用語です。ASDは、その中でも加速度を対象としたスペクトル密度を指す表現として使われます。
ASDの詳細については、「加速度パワースペクトル密度」を参照してください。
略語・記号:ASD
別名・関連表記:加速度スペクトル密度、加速度パワースペクトル密度、Acceleration Power Spectral Density、PSD、Power Spectral Density、G²/Hz
関連用語:加速度パワースペクトル密度、PSD、ランダム振動試験、振動数、加速度、G²/Hz、振動制御装置
ECO Vibe advance® ECO Vibe advance(えこばいぶあどばんす)
ECO Vibe advance®とは、エミックの振動試験装置に搭載している省エネドライブシステムです。
一般的に、振動試験装置では、振動発生機、電力増幅器、ブロワなどが電力を消費します。特に大型の動電式振動試験装置では、加振条件や冷却条件によって消費電力や騒音が大きくなる場合があります。
エミックのFXシリーズに搭載している ECO Vibe advance® は、従来の ECO Vibe neo をさらに進化させた省エネドライブシステムです。消費電力を従来製品より最大約36%削減し、装置内温度のモニタリングによるブロワ回転数の抑制制御により、ブロワ消費電力と騒音の低減にも貢献します。
ECO Vibe advance®は、エミック株式会社の登録商標です。
略語・記号:なし
別名・関連表記:省エネドライブシステム、省エネ制御、ECO Vibe neo®
関連用語:動電式振動試験装置、ブロワ、防音機構、省エネ、FXシリーズ
FFT Fast Fourier Transform(えふえふてぃー)
FFTとは、Fast Fourier Transform の略で、高速フーリエ変換を意味します。
一般的には、時間とともに変化する信号を、どの周波数成分を含んでいるかに分けて調べるための計算方法です。音、振動、電気信号、地震波などの解析に使われます。
振動試験では、加速度ピックアップなどで測定した時間波形をFFT解析し、どの振動数帯に大きな成分があるかを確認します。共振の確認、異常振動の把握、ランダム振動の解析、伝達関数の算出などに関係します。
FFTは周波数分析の代表的な方法です。詳細は「周波数分析」を参照してください。
略語・記号:FFT
別名・関連表記:高速フーリエ変換、FFT解析、周波数分析、周波数解析
関連用語:周波数分析、スペクトル、伝達関数、共振、加速度波形、ランダム振動
Grms G rms(じーあーるえむえす)
Grmsとは、加速度の実効値を G 単位で表した表記です。
G は重力加速度を基準にした加速度の単位で、1 G は標準重力加速度である 9.80665 m/s² に相当します。Grms は、ランダム振動における加速度の実効値を G 単位で示す場合に使われます。
一般的に、RMSは時間とともに変化する量の大きさを、二乗平均平方根として表す値です。ランダムに変動する波形では、瞬間的な最大値だけでは振動全体の強さを表しにくいため、実効値が用いられます。
振動試験では、特にランダム振動試験で、試験全体の加速度レベルを表すために Grms が使われます。加速度パワースペクトル密度の振動数範囲全体から求められる加速度実効値を、G単位で表したものです。
国内の振動試験条件では、加速度を m/s² rms で表す場合があります。一方、海外規格や海外顧客の試験条件では、重力加速度を基準にした G 表記が使われることが多く、ランダム振動試験では Grms として指定される場合があります。
なお、Grmsは加速度実効値の表記の一つであり、詳細は「加速度実効値」を参照してください。
略語・記号:Grms
別名・関連表記:G rms、加速度実効値、RMS、m/s² rms
関連用語:加速度実効値、実効値、RMS、ランダム振動、ASD、PSD
HALT Highly Accelerated Limit Test(はると)
HALTとは、Highly Accelerated Limit Test の略で、製品に温度、急速温度変化、振動などの強いストレスを段階的に与え、設計上の弱点や潜在的な故障モードを短時間で抽出するための試験手法です。
従来、HALTは Highly Accelerated Life Test、または Highly Accelerated Life Testing と説明されることがありました。しかし、近年は寿命を推定する試験というより、製品の動作限界、破壊限界、故障モードを確認し、設計改善に活用する定性的な加速試験手法として扱われます。
HALTでは、低温ステップ、高温ステップ、急速温度変化、振動ステップ、複合ステップなどのストレスを段階的に与えます。試験中に発生した機能異常、動作停止、破損などを確認し、その原因を解析して設計改善に反映します。
振動試験の分野では、HALTの一部として広帯域のランダム振動や多軸振動を用いる場合があります。ただし、HALTは振動試験単体を指す用語ではなく、温度、振動、電源、動作条件などを組み合わせて製品の弱点を見つける評価プロセスとして扱います。
本用語集では、HALTの主表記を Highly Accelerated Limit Test とし、Highly Accelerated Life Test / Highly Accelerated Life Testing は従来表記・関連表記として扱います。
略語・記号:HALT
別名・関連表記:Highly Accelerated Limit Testing、Highly Accelerated Life Test、Highly Accelerated Life Testing、高加速限界試験、高加速寿命試験
関連用語:HASS、ランダム振動、温度変化速度、温度サイクル試験、加速度実効値、故障モード、動作限界、破壊限界
HASS Highly Accelerated Stress Screening(はす)
HASSとは、Highly Accelerated Stress Screening の略で、量産工程における潜在的な不具合を早期に検出するためのスクリーニング手法です。
一般的には、HALTで得られた製品の弱点、動作限界、破壊限界などの情報をもとに、量産品に対して過度な破壊を起こさない範囲で温度変化や振動などのストレスを与え、不良品や工程上のばらつきを検出します。
HALTが主に開発・設計段階で弱点を見つける試験であるのに対し、HASSは主に量産段階で潜在不良を選別するスクリーニングとして使われます。そのため、HASSでは、製品を壊すことではなく、出荷前に初期不良や工程不具合を見つけることが目的になります。
振動試験の分野では、HASSの一部としてランダム振動や温度サイクルを組み合わせる場合があります。ただし、HASSも振動試験単体の用語ではなく、量産品質を確認するための加速ストレススクリーニングの考え方として扱います。
詳細は「HALT」「ランダム振動」「温度サイクル試験」「加速度実効値」を参照してください。
略語・記号:HASS
別名・関連表記:Highly Accelerated Stress Screen、高加速ストレススクリーニング、加速ストレススクリーニング
関連用語:HALT、ランダム振動、温度サイクル試験、加速度実効値、量産スクリーニング、初期不良、工程不具合
mmp-p Millimetres Peak-to-Peak(みりめーとるぴーくとぅぴーく)
mmp-pとは、変位をミリメートル単位の peak to peak 値で表す表記です。
一般的には、p-p は peak to peak の略で、波形の最大値から最小値までの全体の幅を表します。
振動試験装置では、可動部が中心位置を基準に往復運動するため、変位を mm p-p で示すことがあります。例えば、50 mm p-p は、中心位置から片側へ25 mm、反対側へ25 mm動く範囲を意味します。
mm p-p の詳細については、「変位」を参照してください。
略語・記号:mmp-p
別名・関連表記:mmp-p、peak to peak、p-p値、最大変位、変位
関連用語:変位、最大変位、p-p値、振幅
PSD Power Spectral Density(ぴーえすでぃー)
PSDは Power Spectral Density の略で、信号に含まれる成分の強さを振動数ごとに表す指標です。ランダム振動試験では、加速度を対象としたPSDを用いて試験条件を表すことが多く、エミックの専門用語集では「加速度パワースペクトル密度」にまとめています。詳しくは「加速度パワースペクトル密度」を参照してください。
略語・記号:PSD、ASD、(m/s²)²/Hz、G²/Hz
別名・関連表記:PSD、Power Spectral Density、ASD、Acceleration Spectral Density、加速度PSD、加速度スペクトル密度、パワースペクトル密度
関連用語:ランダム振動、Grms、振動制御
Q値 Quality Factor / Q factor(きゅーち)
Q値とは、共振現象において、共振の鋭さや減衰の小ささを表す指標です。英語では Quality Factor または Q factor と表記され、品質係数、Q factor、Q値などと呼ばれます。
Q値は分野によって使われ方が異なります。振動・機械分野では、供試品や構造物が共振したときに、どの程度鋭く応答するか、また振動がどの程度減衰しにくいかを表す目安として使われます。電気・電子分野では、コイルや共振回路の損失の少なさや選択度を表す指標として使われます。光学やマイクロ波分野では、共振器の共振周波数と共振幅の関係を表す指標として使われます。また、建築分野では、住宅の断熱性能を表す「熱損失係数」をQ値と呼ぶ場合があり、これは振動試験で扱うQ値とは意味が異なります。
振動試験で扱うQ値は、主に共振の状態を評価するために使います。一般に、Q値が高い場合は、共振ピークが鋭く、特定の振動数で応答が大きくなりやすい状態を示します。一方、Q値が低い場合は、減衰が大きく、共振ピークがなだらかで、振動エネルギーが比較的早く失われる状態を示します。
振動試験では、供試品、治具、取付部、内部部品などが共振すると、加振入力に対して局所的に大きな応答が発生する場合があります。Q値は、その共振がどの程度鋭いかを把握し、共振探索、共振耐久試験、共振点追従、治具設計、固定方法の見直しなどを検討する際の参考になります。
ただし、Q値の算出方法は一つではありません。共振曲線の半値幅から求める方法、減衰比から求める方法、伝達率や応答倍率を用いて求める方法などがあります。また、ゴムなどの粘弾性材料では、温度や振動による発熱によって動特性が変化し、試験中に共振振動数、伝達率、位相、Q値が変化する場合があります。そのため、Q値を見る際は、どの測定方法・算出方法で求めた値なのかを確認することが重要です。
当社の振動試験・共振耐久試験では、Q値を単独の合否判定値として扱うのではなく、共振振動数、伝達率、加振レベル、計測点、供試品の取付状態、治具剛性などとあわせて確認する指標として扱います。特に共振耐久試験では、試験中に共振振動数が変化する場合があるため、変化する共振点に追従しながら加振する振動制御ソフトウェアが重要になります。
略語・記号:品質係数、Q factor、Q値、共振の鋭さ、共振倍率、減衰の目安
別名・関連表記:なし
関連用語:共振、共振振動数、固有振動数、伝達率、共振探索、共振耐久試験、Resonant Dwell、減衰、半値幅
Transfer Function Transfer Function(とらんすふぁーふぁんくしょん)
Transfer Functionとは、日本語で伝達関数と表され、入力に対して出力がどのように応答するかを表す関数です。略して TF と表記される場合があります。
一般的には、制御工学、電気回路、機械振動、音響、構造解析などで使われ、入力信号と出力信号の関係を周波数ごとに示します。
振動試験では、振動台に入力した加速度に対して、供試品や治具の応答がどの程度増幅または減衰するかを確認するために使います。共振点では伝達関数の値が大きくなるため、供試品や治具の共振確認、モード解析、試験条件の検討に役立ちます。
詳細は「伝達関数」「共振」「モード解析」を参照してください。
略語・記号:TF
別名・関連表記:伝達関数、周波数応答関数、FRF
関連用語:伝達関数、共振、モード解析、加速度応答、周波数分析
1自由度系 Single-Degree-of-Freedom System(いちじゆうどけい)
1自由度系とは、運動を表すために必要な独立した変数が1つで済む力学系です。英語では Single-Degree-of-Freedom System と表され、略して SDOF System と記載される場合があります。
一般的には、質量、ばね、減衰要素で構成される単純な振動モデルとして説明されます。1自由度系は、固有振動数、共振、減衰、応答、応答スペクトルなどを理解するための基本モデルです。
当社製品に関連する振動試験では、実際の供試品や治具は複雑な多自由度系である場合が多いですが、1自由度系の考え方は、共振や減衰、過渡応答を理解するための基礎として重要です。
複数の自由度をもつ構造物については「多自由度系」、自由度そのものの説明は「自由度」を参照してください。
略語・記号:SDOF System
別名・関連表記:一自由度系、単自由度系、SDOF
関連用語:自由度、多自由度系、固有振動数、共振、減衰、減衰比、応答スペクトル